【競馬】強力4歳勢を一蹴か。エプソムC連覇を狙うディサイファ
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
東京競馬場でのGI5週連続開催もあっという間に終わってしまいましたね。しかし競馬は、今週も来週も行なわれます。来年のダービー出走を夢見る2歳若駒たちの戦いが始まり、秋への飛躍を目指す古馬たちの争いは熾烈さを増すばかりです。それらのレースも、GIとはまた違った趣があります。
6月14日に行なわれるエプソムC(東京・芝1800m)は、まさしくそんなレース。今秋の大舞台での躍進を狙う古馬たちがしのぎを削ります。
一昨年は、ジャスタウェイが3カ月の休養を経てこのレース(2着)で復活。以降、グングンと成長し、天皇賞・秋(東京・芝2000m)などを制して、一年後には「世界一」の称号を手にしました。他にも、2012年の2着馬ダノンシャーク(牡7歳)らが、このレースをステップにして、のちのGIレースで活躍したり、栄冠を手にしたりしました。初夏に行なわれる古馬戦線の「出世レース」と言えますね。
とりわけ活躍が目立つのは、4歳馬です。前述したジャスタウェイやダノンシャークもそうでした。これには、れっきとした理由があります。
3年前の2012年、JRAは大きな番組改編を行なって、日本ダービーの翌週から2歳新馬戦を始めることにしました。その変更に伴って、クラスの再編成(年齢と収得賞金によるクラス〈=条件〉分け)もダービーの翌週からとなり、その際に収得賞金が半分になる4歳馬は、ダービーの翌週に行なわれる安田記念(東京・芝1600m)への出走が困難な状況になってしまいました(収得賞金が多い順に出走権利を得られるため)。おかげで、安田記念で除外された有力4歳馬が、同レースの条件に近い翌週のエプソムCにスライド出走することが多くなり、それらもともと実績のある4歳馬たちが好走しているのです。
さて、今年は安田記念を除外された4歳馬はいませんが、やはり注目すべきは4歳馬。エイシンヒカリ(牡4歳)とサトノアラジン(牡4歳)です。
エイシンヒカリは、3歳春にデビューして5連勝を飾った素質馬。特に衝撃的だったのは、左回りの東京でのレースに初めて挑んだアイルランドT(2014年10月19日/芝2000m)です。スタートと同時に先頭に飛び出すと、最後の直線では外に大きく膨らんでいきながらも、後続に3馬身半差をつけて完勝しました。
今回も同じ左回りの東京コース。再度、圧勝劇を演じてもおかしくありませんし、前走から手綱をとる名手・武豊騎手が、また違った一面を引き出してくれるかもしれません。何にしても、楽しみな存在です。
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プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。