【競馬】クラシック戦線を血統でひも解く。名牝の仔、孫に注目! (3ページ目)

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Nikkan sports

 こういった、現役時代のライバルの子孫同士の対決も、長年のファンにとっては興味深いもの。1997年の3歳牝馬3冠戦線を分け合ったキョウエイマーチとメジロドーベル(オークスなどGI5勝)も、孫が勝ち上がっている。前述のアヴニールマルシェとマッサビエル(牡/父ハービンジャー)がその馬で、この2頭は奇しくも同じ馬主(キャロットファーム)でいずれも牡馬。こちらも対決が実現して欲しい組み合わせである。

 血統的共通点がある馬同士の比較もおもしろい。トニービンの代表産駒であるエアグルーヴ、ノースフライト(安田記念)の孫となるポルトドートウィユとキロハナ(牡)は、いずれも3冠馬ディープインパクト産駒。父と祖母の父が同じという関係だ。いずれもディープインパクト産駒らしい瞬発力を持つ素質馬である。

 変わり種では、ファレノプシス(桜花賞などGI3勝)の孫ブルームーン(牡)を挙げておきたい。ダートが得意のパイロを父に持つ同馬はダート1200mで勝ち上がり。目の覚めるような強烈な末脚は相当な能力を感じさせるものであり、今後は他馬とは別の路線で頭角を現してくるかもしれない。

 また、直仔や祖母にとどまらず、曽祖母が1987年牝馬2冠(オークス、桜花賞)のマックスビューティというココロノアイ(牝、父ステイゴールド)は既にアルテミスS(GIII・東京芝1600m)で重賞勝ちを収め、阪神JFでも3着に入っている。オールドファンにはうれしい存在だ。

 現役時代を知るファンの方は、“母譲りの瞬発力”とか“馬体や気性が似ている”など、産駒と母・祖母を重ね合わせて懐かしむもよし。そこに馬券のヒントも転がっているかもしれない。そうでない方はこれを機に、過去の名牝の成績を調べたり、映像でその走りを確認してみてはいかがだろう。その馬のルーツを知ることで思い入れも深くなり、新たな発見があるかもしれない。こういった血統の知識が、今年のクラシック戦線のみならず、競馬をより楽しむための手助けになれば幸いである。

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