【競馬】東京新聞杯、人気薄ヴィルシーナの「大駆け」に期待
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
2月4日(火)は暦の上では立春でしたが、美浦トレセン(茨城県)は午後から雪になりました。翌2月5日は、調教が行なわれる水曜日。早朝は地面が凍結し、馬場の整備など大変だったと思います。関西の栗東トレセン(滋賀県)では、その水曜日の朝も雪が降っていたようですから、調教や馬場整備など、一層難儀だったかもしれませんね。
さて、そんな真冬の中、2月9日には東西で注目の重賞が開催されます。安田記念(6月8日)と同じ舞台で行なわれる東京新聞杯(東京・芝1600m)と、のちのクラシックホースを輩出することも多いきさらぎ賞(京都・芝1800m)です。どちらも春のGI戦線を占う意味で重要なレースですが、今回は馬券的な面を考慮して、東京新聞杯を取り上げたいと思います。
東京競馬場のマイル(1600m)戦は、スタートしてからしばらく直線です。そして、コーナーが2回だけで、最後にまた長い直線となります。ポジション取りのプレッシャーが少なく、ジョッキーとしては心理的に乗りやすいコースと言えるでしょう。ゆえに、レースでは馬の能力どおりに決着することが多いですね。
今年の東京新聞杯で、能力が最も高いのは、おそらくショウナンマイティ(牡6歳)でしょう。まだGIというビッグタイトルは手にしていませんが、昨年の安田記念(2013年6月2日)では、勝ったロードカナロアに際どく迫る2着。さらに、その前の大阪杯(2013年3月31日/阪神・芝2000m)では、オルフェーヴルと差のない2着と、昨年の年度代表馬と最優秀4歳以上牡馬の2頭と好勝負してきました。その実績は、今回のメンバーの中では随一で、ポテンシャルの高さがうかがえます。
昨秋、確かに安田記念以来となる毎日王冠(2013年10月6日/東京・芝1800m)では、1番人気に推されながら、6着と思わぬ敗戦を喫しました。しかしそれは、重賞とは思えない超スローペースで流れて、レースの上がり3ハロン(600m)が33秒3という異常な速さで決着したことが原因。しかも、レース前にアクシデントがあったようです。敗因がはっきりしているので、度外視していいでしょう。
また、その敗戦後、無理使いをせずに休ませたことも好感が持てます。普通ならば、無理をしてでも天皇賞やマイルCSといったGIを使ってもおかしくないですからね。
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プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。