【競馬】格安の新種牡馬、マツリダゴッホの評価が高いワケ (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by AFLO

 今までに勝ち上がった産駒を見ても、母の血がきちんと生きていることがわかる。勝ち星を挙げたレースの距離が、1000~1800mと幅広いからだ。つまり、スピード豊かな母の子は短距離で、スタミナのある母の子は中長距離で強さを見せている。さまざまな距離適性を持つ産駒が出ていることこそ、母方の適性を生かしている証拠と言えるだろう。

 何より、このバランスの良い遺伝力こそ「マツリダゴッホの父である、大種牡馬サンデーサイレンスの真骨頂だった」と海老原氏は話す。

「サンデーサイレンスは、3000mを超える長距離GIの覇者を何頭も出しながら、一方で1200mのスプリントGIを制する馬も輩出しました。掛け合わせる母馬によって、いろいろなタイプの産駒が出たのは、あの馬が持っていたバランスの良い遺伝力の賜物。それをマツリダゴッホが受け継いでいるとすれば、種牡馬としての活躍を期待せずにはいられません」

 大種牡馬サンデーサイレンスは、数え切れないほどの名馬を遺した。そしてその多くは、種牡馬として第2の舞台に立っている。つまりマツリダゴッホにとって、同じサンデーサイレンスの血を引くライバル種牡馬はたくさんいるのだ。その熾烈な争いの中でも、偉大な父の能力を引くマツリダゴッホなら、大仕事をやってのけるかもしれない。

 今後、初年度産駒が活躍すればするほど、マツリダゴッホとの種付けを希望する生産者は増えるだろう。実績ある繁殖牝馬との配合も多くなるはずだ。そうして生まれた子どもたちがデビューする年こそ、種牡馬マツリダゴッホが真価を発揮するときなのかもしれない。そのためにも、初年度産駒にはさらなる飛躍が期待される。

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