【競馬】完成度がモノ言うオークス。狙いは桜花賞組のレッドオーヴァル (2ページ目)

 牝馬限定の未勝利戦でしたから、レースのレベル自体は決して高くはなかったかもしれません。それでも、この脚力と瞬発力を見て「オークスに間に合えば、面白いな」と思いました。レース序盤に若さを見せていたこともあって、相当な伸びしろも感じましたからね。

 そして、前走のフローラS(4月21日/東京・芝2000m)では、私が抱いたイメージが間違っていなかったことを証明してくれました。再び道中最後方に位置しながら、3コーナー付近から豪快なまくりを見せて快勝。まさに圧巻の競馬でした。

 4戦目という浅いキャリアで長距離輸送を克服し、プラス体重でレースに臨めたことも好感が持てます。今回は、中3週で2度目の輸送になりますが、一度経験したことのある競馬場ですから、心配はないでしょう。GIの舞台でも、フローラSで見せてくれた圧勝劇を再現してほしいものです。

 ところで、毎年思うことなのですが、阪神・芝1600mという条件で行なわれる桜花賞と、一気に800mも距離が伸びて東京・芝2400mで行なわれるオークスは、春の牝馬二冠とはいえ、本来まったく別次元のレースだと思います。にもかかわらず、例年、桜花賞組の好走が目立ちます。それは、ほとんどの出走馬が未経験の距離のため、折り合いに気をつけながらの競馬になりやすく、たとえマイラーでもこなせる展開になりやすいからなのでしょう。つまり、重要な要素となるのは、距離適性よりも、その時点での完成度。その差が、結果に表れているのだと思います。

 そういう意味では、桜花賞組からも目が離せません。特に勝ったアユサンは、7着に沈んだ阪神ジュベナイルフィリーズ(2012年12月9日/阪神・芝1600m)や、3着にとどまったチューリップ賞(3月2日/阪神・芝1600m)ではチグハグな走りだったように、本来右回りが得意ではないのだと思います。それが今回は、昨秋のアルテミスS(2着。2012年11月3日/東京・芝1600m)で強烈な末脚を見せた、左回りの東京競馬場に舞台が変わります。一層パフォーマンスを上げそうな気がします。

 そのアユサンに次いで、桜花賞2着だったレッドオーヴァルも軽視はできません。今回の「ヒモ穴馬」には、この馬を取り上げたいと思います。

 血統的にはマイラーに近い馬で、おそらく厩舎サイドもそう思っているのでしょう。これまで使ってきたレースは、デビューから3戦が1400m戦で、その後の2戦が1600m戦でした。とはいえ、道中の"タメ"が利く馬で、終(しま)いの末脚で勝負するタイプです。完成度も非常に高く、まさに「オークスで好走する桜花賞組」といったイメージがあります。

 鞍上は、桜花賞で騎乗した兄ミルコ・デムーロから、弟のクリスチャン・デムーロに替わりますが、クリスチャン・デムーロはその桜花賞で7番人気のアユサンを勝利に導いています。ひょっとすると、馬ではなく、ジョッキーが二冠を達成するかもしれませんね。

桜花賞ではアユサン(7番人気)を指名!
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プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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