【競馬】福永騎手が語る桜花賞「最も魅力を感じるのは、ディープの妹」 (3ページ目)

  • 新山藍朗●取材・文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

――さて、本題の桜花賞ですが、まずは各トライアルレースの評価をうかがいたいと思います。本番と同じ舞台で行なわれ、例年最も好メンバーが集まるチューリップ賞(3月2日/阪神・芝1600m)は、クロフネサプライズが勝ちました。それも、2着に3馬身半差の完勝です。阪神JFでも2着でしたから、実績は最右翼だと思うのですが、それでも断然の本命候補と言われないのは、なぜでしょうか。

「チューリップ賞はペースが遅く、前で競馬をしたクロフネサプライズに流れが向いた、ということがひとつあります。それに、当日の風がレースに大きく影響したからだと思います。というのは、阪神競馬場ではこの時期、ときどきゴール前で猛烈な“六甲おろし”が向かい風になって吹くことがあって、チューリップ賞のときがまさにそうでした。そうなると、最後の直線で勝負を仕掛ける後方の馬にとっては厳しい条件になります。要するに、先手をとったクロフネサプライズは、単にペースだけでなく、そうしたレース環境にも恵まれたゆえ、『あの3馬身半差は本当に実力なのか?』と思われているのではないでしょうか。無論、そういう評価であったとしても、クロフネサプライズが有力馬の一頭であることは確かです」

――その他のレースについては、いかがですか。

「フィリーズレビュー(3月10日/阪神・芝1400m)は、勝ったメイショウマンボの強さが際立ったレースでしたね。それは素直に評価できると思いますが、レース全体のレベルには疑問符がつきます。また、クラウンロゼが勝ったアネモネS(3月9日/中山・芝1600m)と、サクラプレジールが勝ったフラワーC(3月16日/中山・芝1800m)は、どちらも桜花賞には直結しないレースですからね。評価するのは、ちょっと難しいです」

――そうなると、トライアルには出走していない別路線組にもチャンスがありそうです。なかでも注目は、エルフィンS(2月2日/京都・芝1600m)を勝ったトーセンソレイユです。デビュー2戦2勝で、ディープインパクトの妹という血統的な魅力もあります。

「エルフィンSではグッドレインボー(3着)という馬に騎乗していたのですが、実際にトーセンソレイユと戦ってみて、『この馬は、強い』と思いましたね。前の馬をかわしていくときの脚がとても速かった。2着に負かしたのが、チューリップ賞2着のウインプリメーラですから、レースのレベルも決して低くなかったと思います。キャリアの浅さや、エルフィンSから桜花賞に直行するというローテーションにはやや不安はありますが、逆に底を見せていない魅力があります。結果はともかく、現時点で『最も魅力を感じる馬は?』と聞かれたら、この馬を挙げます」

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