【競馬】ダービー卿チャレンジT、ホーカーテンペストが波乱の一戦を制す

中山の芝1600m戦で優れた戦線を誇っているホーカーテンペスト。中山の芝1600m戦で優れた戦線を誇っているホーカーテンペスト。ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 GIレースの狭間の週となる3月31日、阪神競馬場では大阪杯(芝2000m)が開催されます。オルフェーヴルをはじめ、エイシンフラッシュやヴィルシーナなど、春のGI戦線で活躍が期待される有力馬が顔をそろえ、見応えのあるレースになりそうです。

 一方、中山競馬場では、ダービー卿チャレンジT(芝1600m)が行なわれます。毎年、人気薄が馬券圏内に飛び込み、高配当での決着が多い重賞競走です。難解ですが、今回は馬券的な妙味がある、こちらのレースを取り上げたいと思います。

 同レースがいつも波乱となる要因は、重賞ながらやや格落ちのメンバー構成で、しかもハンデ戦で行なわれるからです。そのうえ、中山の芝1600mというトリッキーなコースで開催されることが、思わぬ結果を生み出すのでしょう。

 そして今年も、波乱決着は必至だと思います。なにしろ、1番人気がどの馬になるかさえ、予想するのが難しいですからね。

 そんな混戦メンバーの中で、最も注目されているのは、昨年のレース(2012年4月1日)でも1番人気(5着)に押されたダイワファルコン(牡6歳)でしょう。

 昨年のダービー卿チャレンジTでは、ダイワファルコンはブリンカー(遮眼革。馬の視野を制限するための馬具)を着用して挑んでいました。その2走前の中山金杯(2012年1月5日/中山・芝2000m)で、ブリンカーの効果があって2着と好走したからだと思います。しかしレースでは、能力がありながらも、それをすべて出し切れずに終わってしまった印象でした。

 5歳の春の時点でこうしたレースぶりを見せられると、「底が見えたかな?」と思ってしまうところなのですが、ダイワファルコンはその後、秋になって変貌したのです。オールカマー(2012年9月23日/中山・芝2200m)でブリンカーを着けずに結果(2着)出すと、福島記念(2012年11月18日/福島・芝2000m)では初の重賞制覇。そのレースでは、長くいい脚を使って、最後まで真剣に走り、能力を出し切っていました。まさに「本格化した」と思えた瞬間でした。

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著者プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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