【競馬】ジャパンカップ、今年は外国馬から不気味な勝負気配が漂う (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 マウントアトスを管理するルカ・クマーニ調教師は、これまでにファルブラヴ、アルカセットとジャパンカップを2回制覇。陣営は、勝ち方を熟知している。マウントアトス自身も、今年からクマーニ厩舎に移籍した途端、素質を開花。移籍後3連勝を記録し、8月のジェフリーフリアS(イギリス・芝2700m)では、前年の英セントレジャー(GI)の1、2着馬をあっさりと退けた。今シーズンはここまでこの4戦のみと、状態がフレッシュな点も好感が持て、スタッフが「時計の速い馬場に適性が高い馬」と強調。一発の可能性を秘める。

 レッドカドーも、ジャパンカップでは2006年にウィジャボードを3着に導くなど、日本競馬に精通するエド・ダンロップ厩舎の管理馬。厩舎スタッフが「ウィジャボードの2回の挑戦で多くを学んだ。日本の競馬にはどういった馬が適しているかが見えてきた」と語るとおり、昨年、一昨年には、スノーフェアリーを送り込んでエリザベス女王杯を圧勝した。それだけに、レッドカドーも軽くは扱えない。特に今回は、デビューから無傷の22連勝中というオーストラリアの名馬ブラックキャビア(牝6歳)が今年の英国遠征時に使用した馬用のボディースーツを、秘策として積極的に活用。人間のアスリート用のものを改良したこのスーツは、着用することで血液と酸素の流れを活性化し、調教前のウォーミングアップも短時間で効率的に行なえるという。その成果を日本でも見せられるか、注目だ。

 もう一頭、イギリスからやってきたスリプトラ(牡6歳)も忘れてはいけない。5頭の招待馬の中で最も早く日本入りし、ロジャー・ヴァリアン調教師は「今年の前半からジャパンカップを目標にしていた」と公言している。さらにヴァリアン調教師は今回が初の来日となるが、夫人は世界最大級の競走馬組織ダーレーに勤める日本人。日本の競馬に対する理解度は高く、「勝負になると思ったから日本に来た」と胸を張る。スリプトラの重賞4勝という成績は、5頭の招待馬の中では最多。GI出走経験も豊富で、強い相手に揉(も)まれてきた実績は強みとなる。

 何はともあれ、外国馬には、日本馬にはない未知の魅力がある。「史上最強」とも言われる日本の豪華メンバーにひと泡吹かす馬が、この中にいてもおかしくない。

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