【木村和久連載】松山英樹のマスターズ優勝はゴルフ業界をどう変えた (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 実際にゴルフ自体、比較的安全で密になりにくく、社交性もあって健康にいい。しかも、堂々と大手を振って行ける"遊び"として、脚光を浴びています。そうして、コロナ禍でやることがなくなった若者が「ゴルフでもやってみるか」と、興味を持ち始めたのです。

 つまり、新しくゴルフをやる人はこれまで以上に、スポーツというより、手軽なレジャーとして捉えています。

 そうなると、従来の倶楽部メンバーと、新しく始める若者ビジターとの間で軋轢(あつれき)が生じる可能性があります。頑固オヤジとカジュアルな若者は、水と油のようなもの。お互いに、よく思っていない感じがします。

 じゃあ、いったいどうすればいいのか?

(3)メンバーよりビジター優先という時代へ
 従来のカントリー倶楽部は、メンバーが集まり、自主独立の運営をして、エクスクルージブな集まりを生み出していました。

 ゆえに、メンバーに連れられて来たビジターは、ほとんど借りてきた猫状態でした。メンバーのお情けにより、普段は入れない場所に特別に入れてもらい、ちゃんと行動しなさい、というわけですね。

 ただこれは、メンバーとメンバーの家族&友人のみの運営で成り立っている場合の話です。

 今や、日本の純然たるメンバーシップ制度は崩壊し、ゴルフ場の多くがインターネットなどによるビジター予約が可能となりました。要するに、多くのゴルフ場がメンバーシップによる倶楽部運営が行き詰ったため、縁もゆかりも面識もない人を、ネット予約経由でラウンドさせているのです。

 古いメンバーさんは、いまだにそうしたビジターに対して「特別におまえらをラウンドさせてやる」という意識でいますが、実はどっこい、最近では立場が逆になってきているのです。

 メンバーシップによる運営が立ちいかなくなったから、ビジターにお願いして高い料金を支払っていただき、倶楽部運営を助けてもらっているのです。特に土日、祝日は、ビジターはメンバー料金の倍以上かかる場合もありますからね。そりゃ、すごい出費です。

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