「悪条件な時ほど楽しまないと」小祝さくらが賞金ランクトップへ浮上 (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

「風があるなかでも、狙ったところに打てるよう、1、2年ぐらい前から低い球を打つ練習をしてきた成果かなと思います。(初戦の)ダイキンオーキッドレディスの時もそうでしたけど、今日みたいに風が強いなかで、コントロールショットがうまくいっている。

 クラブを短く持って、スリークォーターで打つ。ボールを少し右に置いて、手が先に切り返さないように気をつけて打っています」

 そして最終日のハイライトは、この15番パー4のティーショットだ。ホール表示は300ヤードだが、最終日にはティーグラウンドが前に出され、ピンまで240~250ヤードと短くなり、ワンオンも不可能ではなかった。しかし、およそ230ヤードの位置にバンカーが待ち構え、右に広がる池が嫌でも視界に入ってくる。

 それでも、小祝はドライバーを振り抜いた。ボールは池の横をすり抜けて、グリーン右のラフへ落下した。残り20ヤードのセカンドを58度のウェッジで1mに寄せ、難なくバーディーを奪って単独首位に立った。

「15番はチャンスホールで、みんなが(ワンオンを)狙っていると思ったので、ここは攻めないといけない、と。左からの風が吹いていたので、左狙いでいいんじゃないかと思って打ったんですけど、ボールの行方が確認できなくて、池にいったんじゃないかと不安になりましたね。ギリギリのラインだったみたいで、ラッキーでした」

 16番(パー5)でも連続バーディーを決めて通算10アンダーに伸ばし、トップグループの誰よりも先に18番パー4を迎えた。ティーショットはほぼ完璧だったものの、セカンドショットがわずかに短く、3打目も寄せ切れず、約2mの微妙なパーパットを残した。

 そのパーパットを小祝は、いつものニコニコした表情でラインを読んで、スッとアドレスに入り、迷いなく打った。そう見えたが、内心は冷や汗をかいていた。

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