渋野日向子にとって試練の2020年。過去に「戻りたい感情が芽生えた」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●取材・文 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Getty Images

 ツアーチャンピオンシップリコーカップの開幕を前に、渋野は「一日3アンダー」の目標を立てていた。2日目までに7アンダーまで伸ばし、目標を上回るスコアで決勝ラウンドに入ったものの、そこから思うように伸ばせず、通算6アンダーで4日間の戦いを終えた。それでも、3位タイという結果は今季最高順位で、気分が悪いはずがない。

「1日目、2日目はよくがんばっていたかな。3日目、4日目は本当に耐える2日間だった。これまでなら耐え切れず、3日目、4日目にもっと(スコアを)落としていたかもしれない。

 でも、(2週前の)伊藤園レディスのあたりから、ちょっとずつ気持ち的にラクになってきて、ポジティブに考えていくことによって、打数を減らせることがわかった気がする。そのことを、あらためて実感した4日間でした」

 国内ツアーはツアーチャンピオンシップリコーカップが最後となったが、12月10日からは海外メジャーの全米女子オープン(12月10日~13日/テキサス州)が待つ。

「今年の最終戦が大きな大会だし、しかもアメリカ。出場機会を与えていただいたこともありがたいですし、開催していただけることもありがたい。悔いが残らないように戦いたい。

 日本で調子がよくなってきていると思うので、自分らしいプレーがアメリカでもできるようにしたい。それができたら予選通過できると思うので、まずはそこを目指していきたい」

 タイで合宿を行なった昨オフとは違い、オフの期間は海外ではなく、国内で練習やトレーニングに励む予定だ。そして、無事に開催されれば、東京五輪がおよそ半年後に控える。

「あったらいいんですけどね。今はオリンピックというより、アメリカツアーへの気持ちが強い。アメリカツアーに出るためのことを考えていたら、自然とゴルフもレベルアップしてくると思いますし、それによって、結果も伴ってくれたら......。

 そうなると、世界ランキングも上がるだろうし、アメリカツアーに参戦する目標の過程に、オリンピックがあるという感じで今は考えています」

 昨年末に口にした最終目標である「海外メジャー全制覇」=グランドスラムを、今年の渋野は一度も口にしなかった。苦しみのなかから見出した光明は、この壮大な夢につながるはずだ。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る