【木村和久連載】メジャー制覇へ。日本人選手の効果的な海外戦略とは (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 野球だと、イチロー選手のような例があります。

 イチロー選手は、メジャーリーグで地区優勝を1回経験しているものの、引退するまでワールドシリーズには1度も出ていません。でも、打率や安打数などの成績によって、「殿堂入り確実」という評価を受けています。

 ならば、ゴルフも同様に、バーディー数や、フェアウェーキープ率、平均パット数などが評価の対象となれば、見方が変わるかも?......って、それは話がちょっと飛躍しすぎですね......。

 とにかく、男子ゴルフの海外戦略においては、メジャー優勝が必須で、「メジャー2位じゃダメ」という"呪縛"から逃れられないんですな。

(2)スポット参戦
 次に、男女ともメジャー優勝を視野に入れての、スポット参戦の在り方について考えてみます。

 従来のプロゴルファーの武者修行は、日本で十分活躍したのち、アメリカに活躍の場を移し、PGAあるいはLPGAツアーで経験と勝利を重ね、最終的にはメジャー優勝を狙う戦略となります。

 ところが、渋野選手は彗星のごとく現れて、先にメジャー優勝をかっさらってしまいました。

 だったら、わざわざ欧米に主戦場を移す必要はないんじゃないか?

 たしかに、そうなんですよ。慣れない海外生活なんてせずに、通常どおり国内ツアーをメインにして活躍し、オイシイとこ取りを狙って、たまに海外メジャーにスポット参戦する。それで、十分じゃないですかね。

 これが現在の、とくに女子ゴルフ界の置かれている状況だと思います。来年の渋野選手の動向がますます注目されます。


スポット参戦で海外メジャー制覇を狙うのも決して悪くないですよねスポット参戦で海外メジャー制覇を狙うのも決して悪くないですよね
(3)コース戦略
 渋野選手が全英女子オープンで勝てたのは、「北海道のコースに似ていたからだ」とも言われています。テレビで試合を見ていましたが、たしかにそういう雰囲気はありました。渋野選手にとって、好きなコースデザインが味方したのであれば、本当にラッキーだったと思います。

 一方、男子はどうでしょうか? 全英オープンで言えば、会場となるのはポットバンカーに、ヘビーラフだらけのコースばかり。あれは、スポット参戦で勝てるコースじゃないです。まるっきり異文化、通常の日本人選手じゃあ、太刀打ちできません。

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