やっぱりすごいぞ渋野日向子。疲弊の中で好成績も今後に懸念はある (2ページ目)

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 渋野のこの奮闘ぶりには、ゴルフジャーナリストの三田村昌鳳氏も絶賛する。

「(帰国2戦の戦いぶりは)本当に大したものだと思う。あれだけ疲れているなかで、優勝争いまで演じたのは『やっぱり若さだな』というのが、率直な感想。けれども、全英女子オープンを終えて、とりわけ時差が大きいヨーロッパから帰ってきて、体調は完全ではないし、しかも異常な騒動の中でのプレーを強いられながら、(一打に)集中することができて、きちんとショットを打つことができる――その能力は、相当すごいと思う。

 その集中力が、渋野の持ち味。いわゆる"切り替え"がうまい。強い選手というのは、打つ時以外は、あまり考えない。ゴルフとはまったく別のことを考えたりしている。つまり、人間というのは、たとえばラウンド中の4時間、ずっと集中していることはできない。そこまでのキャパがない。でも、その少ない集中力を、ショットの際に凝縮して使用できればいいわけで、渋野はそれができる。

 彼女は、ティーショットを打ったら、すぐにそのことは断ち切っている。過去のことは振り返らず、次のショットまでは何も考えない。そして、次に打つ場所に来たら、そこで瞬時に判断して対応している。

 逆に、アマチュアゴルファーとかは、ティーショットを打ったあと、そのショットについて引きずったり、『ライは大丈夫かな』『ラフが深かったらどうしよう』などと次のショットについても考えたりしている。要は、気持ちの切り替えがうまくできていない、ということ。そうすると、1打、1打に対する集中力が欠けてしまうし、思考も疲弊してしまう。

 渋野がプレーとプレーの間で、キャディーと喋ったり、何かを食べたりしているのは、うまく"切り替え"ができている証拠でもある。おかげで、(ゴルフに対する)集中力を無駄に消費することなく、ストレスを抱えることも少ない。結果的に、ものすごく合理的なモノの考え方ができている。そうしたことが、今回の快挙にもつながったのだと思う」

 ただ今後も、渋野がこれまでと同じように活躍できるかどうかは、「わからない」と三田村氏は言う。

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