【木村和久連載】再編成が繰り返されてきたゴルフ場業界の現状は? (4ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 そんなこんなで、会員権の"預託金返還"問題をクリアしたとしても、破綻してしまったゴルフ場は意気消沈しています。そこに、大手のゴルフ場運営会社が手を差し伸べて「やり直そう」と提案するのです。

 わかりやすい例で言うと、とあるゴルフ場が会社更生法を仕掛ける前から、大手運営会社がそのゴルフ場をコンサルティングして、"出来レース"かのように買収劇を仕掛ける場合もあります。

 一方、こんな質実剛健なゴルフ場もあります。

 かつて、私が会員だった南総カントリークラブです。会員権証書の額面1000万円を戻してくれたのです。私は1450万円で購入したので、450万円は損をしましたけど、ぼぼ返金されないご時勢にあって、その対応は素晴らしかったと思います。

 その後、同コースも紆余曲折あって、大手資本が入ったりしましたが、結局『南総CCを守る会』が独立して運営することに。現在、会員権は200万円ぐらいの相場で動いています。以前、会員権の多くを2枚に分割したことがあり、そう考えると、400万円くらいの価値はありますか。

 何にしても、かなりがんばっているゴルフ場だと思います。今でも行きたいコースのひとつになっています。

 というわけで、ゴルフ場は会員に対して、預託金の返還や保証をしなければ、それなりに運営できるのです。南総CCのように、都心から近く、設計や運営、メンテナンスもしっかりしていれば、独自運営でも十分に潤います。

 けど、遠隔地だったり、集客能力がなかったりするコースだと、「寄らば大樹の陰」とも言われるように、大手の傘下に入っているほうが、何かと楽なのです。

 大手の集客は、巨大なホームページや提携予約サイトで大々的に行なわれています。単独経営のゴルフ場に比べると、そうしたサイトを見る人の数が圧倒的に多いのです。加えて、プレー前日でも値下げをしたりして、至れり尽くせりの営業を行なって、たくさんのお客さんを呼び込みます。

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