【木村和久連載】再編成が繰り返されてきたゴルフ場業界の現状は? (3ページ目)
そこで、ゴルフ場側が新たな手を打ちます。
ゴルフ会員権の払い戻しには、通常据え置き期間があって、「名義の書き換え後、10年間の据え置き期間を設けて、その後に額面の金額を支払う」という旨が裏書に添えてあります。ですから、メンバーは我慢して10年待つのです。
ところが、その10年でゴルフ場の経営はますます悪化。とても返金などできませんから、ゴルフ場としては「さらに10年の据え置き期間を設ける」ことにしますが、そうなると、さらなる迷宮へと入り込んでいくわけです。
おおよそ、こうした経緯で"預託金返還"問題は起こりました。
そして最終的に、ゴルフ場側による会員権の払い戻しが不可能になると、もはやゲームセット。ゴルフ場は会社更生法の適用を受けて破綻し、管財人がメンバー相手に説明会を開き、そこでメンバーはとんでもない案を提示され、阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄絵図が展開されます......。
なかでも当時、管財人が提示したもっとも恐ろしいプランは、会員権の額面97%カットですかね。つまり、1000万円の会員権なら、プレー権は与えるものの、返金については30万円しか保証しない、という厳しいものでした。
これは、「ほとんど詐欺でしょ」と思いますが、そもそも潰れた会社の残務処理ですから、「仕方がない」と諦める人も結構いました。
バブル崩壊後、ゴルフ界もそのあおりをかなり受けました...
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