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【木村和久連載】ゴルフ会員権の謎。今なお、一部で執着される理由 (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 そこで、作戦を変えて、メンバーに頼んで頻繁にそのゴルフ場でラウンドして、理事に顔を覚えてもらうことにしたとか。そうして足しげく通って5年、5回目の審査で「○○さん、よく見かけるね。そろそろ入会してもいいでしょう」と、めでたく入会が決定したそうです。

 でも、60歳過ぎて入会して、通えても15年がいいところでしょう。なんだかなぁ~、ですよね。

「世界のお金持ち、ベスト100」とかに乗っている人も、ばんばん落ちるのが超名門会員権の奥の深さらしいです。そんな金持ちなら、ゴルフ場を自分で作ればいいと思うんですが、どうやらそれは考えが違うみたい。

 超名門のゴルフ会員権は、すべてのものを手に入れた男が辿(たど)り着く“究極のステイタス”です。バブル時においては、金額が大事でしたが、今は名誉、社会的地位という、見えない自己満足に価値が変わってきているんですね。そうなると、超名門コースの会員権の行き着く先は、正倉院宝物の蘭奢待(らんじゃたい)という香木になるのでしょうか……。

 その香木、過去1000年で、足利義満、織田信長など、わずかな権力者だけが、切り取ることができました。我こそはと思うセレブな殿方は、1000億円ぐらい正倉院に寄付して、挑戦してみてはいかがですか。明治天皇以来の出来事になりますよ。


木村和久(きむら・かずひさ)

1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。


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