【ゴルフ】3年前とは違う。斉藤愛璃が見せた「心の変化」 (2ページ目)

  • 金明昱●文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 振り返れば、2012年シーズンは、いきなり優勝して、瞬(またた)く間に周囲の期待が高まってしまった。自らの実力以上に注目度が増す中、自分を見失って苦しんだ。翌2013年シーズンも同様だった。ツアー優勝者として「結果を出さなければいけない」という思いが先行して、空回りしてしまった。

 昨シーズンも、失ったシード権を取り戻そうとする気持ちだけが先走った。プレイの安定性を欠いて、出場したレギュラーツアーの半数で予選落ちを喫した。トップ10入りは、開幕戦のダイキンオーキッドレディス(2位タイ)と、8位になった日医工女子オープン(7月4日~6日/富山県)のみ。結局、賞金ランキング61位で、シード権獲得はならなかった。

「昨年は、賞金ランキングがひとつ上がったり、下がったりするのを気にして、結果に対してすごくナーバスになっていました」

 しかしその後、年末のファイナルQT()で29位という成績を残した。その結果、今季ツアーのフル参戦の権利を得ることができた。それが、斉藤の中に溜まっていた"重い気分"を振り払ってくれた。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。ファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの大半は出場できる。

 シード落ちした一昨年のファイナルQTでは48位に終わった。おかげで昨季は、出場資格のない試合でも会場に足を運んで、出場選手の病欠などによる繰り上がりでの出場機会を現場で待つことが多かった。試合に出られなければ、交通費や滞在費などが無駄になるが、今季はその心配がいらなくなった。その分、試合にも集中できる。斉藤の気分が晴れるのも、当然だった。

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