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レアル・マドリード監督解任劇の舞台裏 シャビ・アロンソは権力がどこにあるかを見失っていた (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Akiko Tonegawa

 ふたり目のブラジル人、ロドリゴの状況も似たり寄ったりだったが、彼は沈黙を守っている。彼はポジションを何度も変えられても、すべてを黙って受け入れていたが、自分がプロジェクトの中心ではないと感じていた。そうしてロドリゴの名前も、ヴィニシウスとともに移籍市場で挙がり始めた。監督と彼らふたりの不和は、クラブ内だけでなく、他チームの経営陣、代理人の間でも広まっていった。

 とにかく誰もレアル・マドリードの現状に満足していなかった。選手たちは言うまでもなく、フロント、メディア、何よりもサポーターが不満を抱いていた。一時期まで首位に立っていたレアル・マドリードは勝ち点を落とし、バルセロナに差をつけられ始めた。

 そして、ここにエンドリッキ問題が起きる。試合中ずっとベンチに座り、悲しげな表情を浮かべる若きブラジル人FWの姿は、最も深刻な「政治問題」となった。

 アロンソは彼を戦力として扱わなかった。出場はわずか、ローテーションにも入れない。監督が好んで終盤に投入したゴンサロ・ガルシアは得点も決められず、試合を決定づけることもできないというのに。

 そしてエンドリッキは期限付き移籍で放出される。移籍先のリヨンはフランスで最強ではなく、リーグアンはスペインのラ・リーガやイングランドのプレミアリーグよりレベルが低い。それでもフランスで、エンドリッキは即座に主役になった。1月11日(現地時間)のデビュー戦でゴールを決め、絶対的レギュラー、チームのスターとなり、監督からも全面的な信頼を得ている。

 この活躍を見て、クラブ内部では彼を手放したのは「戦略的ミスではないか」という声が公然と上がり始める。誰のミスか? アロンソだ。レアル・マドリードにはゴールが足りない。そしてエンドリッキは点を取るために雇われた選手だ。それなのに今、彼はフランスで点を取っている......。

 実はエンドリッキだけではない。ペレスがその将来性に賭けて獲得した他の若き才能たちもみな、活躍していると言うには程遠い。アルダ・ギュレルは出場時間が減り、フランコ・マスタントゥオーノはブエノスアイレスで見せていたようなプレーを再現できていない。
(つづく)

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