検索

堂安律、佐野海舟...ブンデスリーガ日本人選手の新シーズン予想 現地取材で見えてきた現在地 (2ページ目)

  • 林遼平●取材・文 text by Hayashi Ryohei

【課題に向き合う1年に】

佐野海舟(マインツ)

 今季は試練が待ち受けているかもしれない。そんなことを感じさせる開幕となった。

 昨季のマインツで一躍、チームの中心となった佐野は、今季も開幕戦からチームに欠かせない選手のひとりとしてスタメン出場。突破を決めたUEFAカンファレンスリーグ予選でも先発出場を果たすなど、チームからの信頼を感じさせる起用が続いている。

 ただ、チームがパッとしない。カンファレンスリーグ予選こそ勝利を手にしたものの、ここまでブンデスリーガでは1分1敗と苦戦。開幕戦となった昇格組のケルン戦も、チームとして低調なパフォーマンスに終始し、佐野もピッチ上で苦闘する姿が見られた。

 大きな理由として挙げられるのは、昨季に比べてチームがよりボールを動かしていくことに意識を傾けている点だ。昨季は前線からプレッシングをかけ、佐野を中心にボールを奪取したところから攻撃を繰り出していくパターンが多かったが、今季は後方からのビルドアップにもトライ。チャレンジはプラスに捉えるべきだが、現在はそこでうまく前進できず、中途半端にボールを奪われてはピンチを招くシーンが増えている。

 開幕戦後、チームの苦悩ぶりを佐野は的確に捉えていた。

「昨季から変わっているところはありますけど、もうちょっと狙いを持って全員が共通認識を持ってやらないといけないと思います。去年はもっと割りきっていた部分もあるし、そこでエネルギーを全員がかけられていたと思う。そういうところを含め、割りきって前に行くのか、後ろでつなぐのかというのが今はチグハグになっているのかなと思います」

 最前線のエースだったヨナタン・ブルカルトが移籍してしまったのも苦戦している要因のひとつだ。前線にボールをキープできるターゲットがいなくなってしまったこともあり、攻撃面でどうしても機能不全が起きてしまっている。

 それでも、この状況は佐野にとってチャンスとも言えるだろう。「自分の武器というのは守備ですし、そこは最低限必要かなと思います。そのベースがあっての攻撃というのはより求められている」というように、攻撃にどう関わっていくかは個人としての課題となっている。チームに新たな変化が起きているなかで、どう攻撃面で違いを作っていくか。簡単ではないが、この1年を乗りきれれば、新たな佐野が見えてくるかもしれない。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る