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【欧州サッカー】やせっぽちの少年が名選手となり名将へ グアルディオラがいなければフットボールの進化は遅れていた (4ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【薬物疑惑を払拭して名将へ】

 当時、彼はセリエAのブレシアに所属していた。フィジカル志向の強いリーグだとしても、グアルディオラが禁止薬物に手を出すとは考えづらい。「いい加減なテストの犠牲になった」とスペインのメディアが問題視すれば、グアルディオラ側は数回にわたって科学的な証拠を提出して無実を訴える。その結果、裁判所は無罪の判決を下し、彼の潔白が証明された。

 風邪薬、もしくは痛み止めのなかに微量の禁止薬物が含まれる場合は多々ある。オリンピックや世界選手権で誤って使用し、出場停止→メダル剥奪といった残念なニュースは何度も報じられてきた。

 しかし、グアルディオラのプレーから判断すれば、その類(たぐい)の薬は不要だ。何者かが名誉を傷つけるために仕組んだ、との指摘も依然として消えていない。

 成功者のイメージダウンを図る不届き者は、どの世界にも存在する。SNSが不気味なほどの独り歩きを繰り返す現代ならなおさらだ。グアルディオラを中傷するサイトまであるという。なんて愚かな......。

 やせっぽちだった少年はクライフ監督に認められ、選手として大成した。監督になってからは独創的なアイデアでフットボールの進化に尽力し、バルセロナ、バイエルン、マンチェスター・シティを世界最強の座に導いている。グアルディオラのキャリアを偽りで汚すような連中に、フットボールを語る資格はない。

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

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