バルセロナ、今季の戦力の全貌が見えた 新加入ラッシュフォードへの期待&懸念はGKか (2ページ目)
【「14」はアンリがつけていた背番号】
「ルーニーは、トップチーム入りのチャンスがある。もちろん、それを望んでいます。でも、それはドロも、他の若手選手たちも一緒で、同じチャンスがありますよ」
そう語るフリックは目利きで、選手の導きもうまく、能力を引き出せる。その手腕は経済的な副産物も生み出している。たとえばパウ・ビクトルは昨シーズン、フリックに抜擢されながら定位置を奪えず、ポルトガル1部のブラガに移籍することになったが、移籍金は1200万ユーロプラス出来高で20億円以上の見込みとなっている。
そして今シーズン"最大の補強"は、左膝前十字靭帯断裂の大ケガから復帰秒読みのラ・マシア育ちの18歳プレーメイカー、マルク・ベルナルである。「左利きのブスケッツ」というべき天才性を感じさせ、ゲームメイクは美しさがある。長短のボールを蹴れるだけでなく、テンポを変え、常に裏を取れる。順調に怪我から回復していれば規格外のMFで、シーズン終了後は新スターが誕生しているはずだ。
ただ、バルサの究極形はラ・マシア組以外のパーツで完成する。
昨シーズンは、ラフィーニャ、ペドリ、ロベルト・レバンドフスキ、イニゴ・マルティネスなど名だたるキャリアの"助っ人"を融合させ、結果を叩き出した。それぞれ欧州のベストイレブンとも言える輝きだったが、ここに新たにもうひとり、スターが加わることになった。イングランド代表FWマーカス・ラッシュフォードだ。
ラッシュフォードは、マンチェスター・ユナイテッドからのレンタル移籍だが、本人は年俸を30%も下げてまで、バルサ入団を希望した。背番号14は、かつてラッシュフォードのアイドルだったティエリ・アンリがつけていた背番号。"元天才"が新シーズンにかける意欲は強い。
フリックは神戸戦でラッシュフォードを左サイドのアタッカーとして起用していた。爆発的な走力を生かしつつ、右利きのドリブルでカットインさせ、敵陣に動揺を起こす。点取り屋よりも、崩しのポテンシャルを生かしたいところか。日本初お目見えだったが、チームに合流したばかりで、受けるパスも託すパスも、ドリブルの感覚も、ことごとくズレていたが......。
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