アレッサンドロ・ネスタこそCBの完成形 ファーディナンドも絶賛「学ぶべきプレーが山ほど」 (4ページ目)
【ネスタの名前は決して色あせない】
2000年代中期のミランは、30代半ばを迎えてフィジカルが衰えてきたマルディーニを、ネスタのスピードとアジリティがカバーしていた。快足FWに先手を取られても瞬時に補えるのだから、対策の施しようがない。
しかも、187cm・79kgという恵まれた体躯を強引に活かすわけではなく、慎重かつ理知的な状況判断に基づく対応は、美しくさえあった。ボールだけを正確に絡めとるスライディングタックルを「芸術」と評しても決して大げさではない。
ネスタ本人の責任ではないが、カルチョポリによって正当な評価が下されていないような感がある。イタリア代表では度重なるケガに悩まされ、ワールドカップやヨーロッパ選手権の本戦では活躍できなかったこともマイナス要素だ。
だが、アレッサンドロ・ネスタの名前は決して色あせない。彼の引退後10年、守備を芸術の域にまで昇華したDFには、まだお目にかかっていない。
強くて速くて美しく、理知的に守る......。ネスタこそがセンターバックの完成形である。
著者プロフィール
粕谷秀樹 (かすや・ひでき)
1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年
、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、 海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム 、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出 版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン 社)など多数。
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