バルサは気がつけばヤマル頼みになっていた チャンピオンズリーグ準決勝敗退の要因 (2ページ目)
【勝負勘が欠けていたバルサ】
そこでようやくバルサに続けてチャンスが訪れる。前半25分、34分、36分と惜しいチャンスを作ったが、インテルもまだ前方向へのベクトルを鈍らせていなかった。ヘンリク・ムヒタリアン(元アルメニア代表)、ハカン・チャルハノール(トルコ代表)が立て続けに際どいシュートを放つ。
そして迎えた43分。ムヒタリアンのパスを受けたマルティネスがパウ・クバルシ(スペイン代表)のタックルを受けて転倒すると、VARの末に判定はPKに覆る。チャルハノールがこれを決め合計スコアは5-3に。バルサの敗色は濃厚になったかに見えた。
セカンドレグも試合運びの拙さを際立たせることになったバルサ。だが、それで持ち前の技術が失われるわけではない。バルサは後半9分、左SBジェラール・マルティン(元U-21スペイン代表)のクロスに右SBエリック・ガルシア(スペイン代表)が右足で合わせ、通算スコアを5-4にする。さらに15分。ジェラール・マルティンのクロスをダニ・オルモが拝むようなヘディングで同点にした。
この準決勝、3度目の同点劇である。インテルは5バックの態勢から前に出た無理がたたり、足が止まる。バルサのいい時間はなお続いた。後半23分にはムヒタリアンが、ペナルティエリアのライン上でラミン・ヤマル(スペイン代表)を倒す。主審はPKスポットを指したが、VARの結果、ファウルはラインのほんのわずか手前で起きたと、ジャッジを覆した。振り返れば、バルサには痛手となる判定だった。
試合の流れはバルサにあった。だが、それに乗じる勝負勘がバルサには欠けていた。2-2になった段階で、お人好し気質を全開にして落ち着いてしまったファーストレグを想起させる展開になりつつあった。
だが、この短所を技術が必死にカバーする。後半42分、MFペドリ(スペイン代表)のパスを受けたラフィーニャが左足シュート。GKヤン・ゾマー(元スイス代表)がいったんセーブするも、そのこぼれに再びラフィーニャが反応、ゴール右隅に鋭い一撃が吸い込まれていった。
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