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【プレミアリーグ】三笘薫にはシュートを選んでほしい ソン・フンミンのアジア最高記録を更新することも可能だ (3ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【7ゴール3アシストはまだ物足りない】

 今季の三笘のプレーを振り返ると、ニューカッスルのキーラン・トリッピアー、マンチェスター・シティのリコ・ルイス、マンチェスター・Uのヌサイル・マズラウィなど、リーグ屈指のDFたちもバランスを崩されている。三笘がアウトサイドで小刻みなリズムを刻みながら急激に緩急をつけるため、1対1の基本である半身で構えられなくなるからだ。その結果、両足が揃ってしまい、三笘の突破を無抵抗なほどに許す始末となる。

 三笘が単なるチャンスメイカーでないことは、誰の目にも明らかだ。

 彼の天性のスピードについて、ブライトンの僚友ルイス・ダンクは「異次元の加速」と絶賛している。柔軟なコントロールはチェルシー戦(前出)で証明し、緩急自在のプレーには「予測不能」と、かつてイングランド代表の名DFとして鳴らしたリオ・ファーディナンドも舌を巻いた。

 また、常にルックアップしているため、敵・味方の位置とスペースをしっかり視認できている点も強みだ。マーカーの間合いや重心をクールに観察しながら、一瞬の隙も見逃さずにアクションを起こす。

 三笘本人もドリブルには自信を持ち、次のように語っていた。

「ボールを奪われないようにする時があれば、リスクを冒してチャレンジする時もあります」

 もっともっと、リスクを冒していい。団体競技なのだからフォア・ザ・チームは当然だ。「俺様が一番」が許される現役は、おそらくリオネル・メッシとC・ロナウドだけだ。

 しかし、三笘が少しだけ利己的になり、持てる技をよりダイレクトにゴールにつなげられるようになれば、ブライトンでも日本代表でも得点・アシストは増えるに違いない。

 今シーズンのプレミアリーグでは29節終了時点で7ゴール3アシスト。やはり物足りない。三笘にラストパスではなく、シュートを選んでほしかったシーンが少なからずあった。

 彼の才能をもってすれば、ゴール、アシストともにふたケタは必ず達成できる。ソン・フンミン(トッテナム・ホットスパー)が2021-22シーズンに記録したゴール関与数30(23ゴール7アシスト)を破り、アジア人最高記録を樹立したとしても不思議ではない。

 世界でもトップランクのウイングストライカーへ......。自分勝手な、いや、ポジティブな表現のほうが好ましいだろう。

 自己主張が明確な三笘も、十分に魅力的だ。

著者プロフィール

  • 粕谷秀樹

    粕谷秀樹 (かすや・ひでき)

    1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン社)など多数。

【図】三笘薫のポジションは?サッカー日本代表 3月シリーズの予想メンバー

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