【プレミアリーグ】三笘薫にはシュートを選んでほしい ソン・フンミンのアジア最高記録を更新することも可能だ (2ページ目)
【打開力はプレミアでもトップクラス】
スポルティングからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した当初、クリスティアーノ・ロナウドはウイングだった。周囲と呼吸が合わず、ラストパスがベターと考えられる場面でも、無理な体勢からでもシュートを放ち、ロイ・キーンやルート・ファン・ニステルローイ、ガリー・ネヴィルにFワードで罵(ののし)られていた。それでも、撃ち続けた。
C・ロナウドの利己的な面をウェイン・ルーニー、カルロス・テベス、朴智星が尋常ではない運動量でカバーしていたとはいえ、ウイングでもゴールへの意欲は旺盛であってしかるべきだ。
リバプールのモハメド・サラー、レアル・マドリードのヴィニシウス・ジュニオール、アーセナルのブカヨ・サカ、バルセロナのラフィーニャ、ラミン・ヤマルなど、サイドに位置する有用なフィニッシャーが近ごろのトレンドだ。
いずれも「古典的なウイング」という概念には当てはまらない。大外のレーンから縦の突破を図ったり、中央部に移動してビルドアップに関わったり、あるいはポケットに進入し、角度のないところからでもシュートを放つ。対戦相手にとって、危険このうえない男たちだ。
三笘の才能に疑いの余地はない。打開力はプレミアリーグでもトップクラスであり、2月14日のチェルシー戦でもスーパーゴールで周囲を驚かせた。
GKバルト・フェルブリュッヘンのロングボールを足首でコントロールし......と表現すればそれまでだが、背後からの浮き球を足もとに収めるのは高等テクニックだ。しかもチェルシーのDFトレヴォ・チャロバーが並走している。コントロールが乱れて少しでもトラップが大きくなれば、相手ボールになるシチュエーションだった。
それでも三笘は難なくマイボールにすると、次のタッチでチャロバーの背後を取ってかわし、すかさずペナルティエリア手前へ。そしてチェルシーのGKフィリップ・ヨルゲンセンの動きを見つつ、冷静に右ポスト脇へシュートを放った。2月の月間最優秀ゴールに輝く衝撃的かつ美しいシュートであり、「ゴール・オブ・ザ・シーズン」の最有力候補といっても差し支えないほどのレベルだった。
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