検索

チェイス・アンリが語る苦い過去 日本代表入りも期待されるDFは高校時代に自信をなくしかけた (3ページ目)

  • 了戒美子●取材・文 text by Ryokai Yoshiko

【「俺が一番うまい」と思っていたのに...】

── 当時在籍していた尚志(しょうし)高校では、あまり基礎技術の必要性は感じていませんでしたか?

「そうですね。昔はあまり、そういう練習を集中的にはやってこなかったので。でもこっちに来たら、より完璧にプレーしなくてはいけないから、基本が大事だと思えるようになりました」

── 日本の高校サッカーではチェイス選手のフィジカルが相手を圧倒していたので、基礎技術の必要性を意識しなくても問題がなかった?

「どうなんでしょうね。たしかに高校時代は(基礎技術が低くても)やれていたかも。まわりはみんなうまかったんですが、自分も自信を持ってプレーできていたんで、技術はあまり気にしなかったかな。

 自分の武器はフィジカルってわかっていたから、そこまで技術にこだわる必要がなかったのかもしれません。周りの人が気持ちよくプレーできればいいかな、くらいしか考えていなかったかも」

── ストロングポイントは理解していたと。

「高校時代は『俺が一番うまい(いい選手)』と思っていて、ずっと自信を持っていた感じですね。でも、高校3年の最後の大会の時期は、『けっこう下手なんだ』って思い込んじゃって......。あまりいいプレーができなくなったんですよね。ほんと、なんでかわからないですけど」

 高校3年の最後の大会、つまり2021年の年末から行なわれた高校サッカー選手権に、チェイスの所属する尚志高校は福島県代表として出場。チームは2回戦で敗れたが、チェイスは優秀選手に選ばれた。

 2022年1月には、A代表の合宿にもトレーニングパートナーとして参加する機会を得た。A代表を率いる森保一監督も直接、チェイスのプレーを目の前で確認している。

 世間の注目を集め始めたこの時期に「自信を失った」とは、いったい彼に何があったのだろうか──。

(つづく)

◆チェイス・アンリ@後編>>サッカー日本代表へのこだわりは? アメリカ代表の可能性はあるのか


【profile】
チェイス・アンリ
2004年3月24日生まれ、神奈川県横須賀市出身。アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれ、3歳から12歳までテキサス州で育つ。中学1年生の夏に帰国し、本格的にサッカーを開始。福島県の尚志高に進学し、高校2年生の時にU-17代表に招集され、翌年は飛び級でU-22代表にも呼ばれる。高校卒業後の2022年4月にドイツのシュツットガルトと3年契約を結んで渡欧。2024年7月にトップチーム昇格を果たす。ポジション=DF。188cm、81kg。

著者プロフィール

  • 了戒美子

    了戒美子 (りょうかい・よしこ)

    1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。

【写真】芸能界リフティング女王・眞嶋優が「神技」に挑戦!連続写真ギャラリー【動画あり】

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る