久保建英は「スーパーゲームをやってのけた」 バルサ撃破の活躍を地元メディアが激賞
ゲームMVPに選出された久保建英が、カップ戦も含めて7連勝を誇っていたバルセロナを叩き潰した。言うまでもなく、勝利を挙げたのはレアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)だが、攻守をけん引していたのは日本人、久保だった。これがどれだけの大仕事だったことか――。
11月10日(現地時間)、サン・セバスチャン。ラ・リーガ第13節で、ラ・レアルは本拠地にバルサを迎え、1-0で金星を挙げている。
久保は立ち上がりから右サイドで決定機の起点になるなど、このゲームに対して際立った覇気を漲らせていた。果敢なプレスバックで危険なラフィーニャを潰すと、イニゴ・マルティネスには体ごとぶつけられるヘディングで倒される。彼が攻守で試合に入り込んでいる象徴的場面だった。
そして、ロベルト・レバンドフスキのゴールがVARのオフサイドで取り消されたあと、久保は無双に入る。
19分、久保は右サイドでイニゴと1対1になると、一瞬の緩急で縦に抜け出し、右足で折り返す。ミケル・オヤルサバルのシュートは外れたが、ゴールも同然だった。29分には、GKアレックス・レミーロのロングキックを右サイドでブライス・メンデスがフリック、それを受けた久保がフェルミン・ロペスのマークをはがし、前に運ぶ。追いつかれたことで一度預けたボールのリターンを受けると、今度はアレハンドロ・バルデをかわし、カバーのペドリも外し、放った左足シュートはGKペーニャに防がれた......。
バルセロナ戦にフル出場し、勝利に貢献した久保建英(レアル・ソシエダ) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る バルサの守備陣は久保に魔物を見ただろう。左サイドバックのバルデは、久保の俊敏さとテクニックのコンビネーションにまったくついていけていない。イニゴはステップひとつで手玉を取られていた。フェルミンも追いすがるのが精いっぱいだった。
「スターだった」
スペイン大手スポーツ紙『エル・ムンド・デポルティーボ紙』はほとんど手放しの称賛だ。
「タケ(久保)は右サイドで、常に危険なシーンを作り出していた。バルデに存在を思い知らせていたと言える。そして何より、試合の流れを完璧に理解することによって、チームにとって最も必要なプレーを追い求めることができた。すばらしい仕事ぶりだった」
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。