チャンピオンズリーグの新名将対決はリバプールの大勝 シャビ・アロンソのレバークーゼンをどう攻略したのか
チャンピオンズリーグ・リーグフェーズ第4節の好カード、リバプール対レバークーゼンは4-0でリバプールが大勝。アルネ・スロットとシャビ・アロンソの欧州サッカーの"新"名将対決で注目された一戦の模様を、現地取材の記者がレポートする。
CL第4節でハットトリックを決めたリバプールのルイス・ディアス photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る
【シャビ・アロンソも現在のリバプールを讃える】
「(リバプールのファンからどう歓迎されるかについては)あまり考えていない。それよりも、明日の試合にいかに準備するかを考えている。とはいえ、ポジティブに迎えられるといいね」
レバークーゼンのシャビ・アロンソ監督は、敵地でのチャンピオンズリーグ(CL)のリバプール戦の前にそう話した。現役時代にリバプールで活躍した元スペイン代表MFは、"イスタンブールの奇跡"と呼ばれる2005年のCL決勝を主力として制した一員でもある。
そんなレジェンドは昨季、シニアレベルの監督として初のフルシーズンに、レバークーゼンをクラブ史上初のブンデスリーガ優勝に導いた。しかもリーグ史上初の無敗優勝で、さらに国内カップも制し、2冠を達成している。そして今回、古巣の本拠地アンフィールドに、相手チームの指揮官として初めてやって来たのだった。
まさしく凱旋を遂げた現在42歳の指揮官が試合前のウォーミングアップ中にピッチに姿を現わすと、両チームのサポーターは温かい拍手で歓迎した。なかには「愛してるよ!」と叫ぶファンの姿もあった。
昨季のレバークーゼンが全公式戦を通じて51試合無敗のヨーロッパ記録を打ち立てたなら、今季のリバプールはアルネ・スロット新監督の下、CLで3戦全勝。プレミアリーグでは1度だけ敗れているものの、8勝1分1敗の勝ち点25で昨季王者マンチェスター・シティを抑えて首位に立っている。
ユルゲン・クロップ前監督の後任という困難な職務を、ここまで見事に全うしている現在46歳のオランダ人監督は、大らかな語り口で選手のハートを掴み、鋭い戦術眼で戦況を一変させる。
先週末のブライトンとのリーグ戦では、前半に先制されながら、ハーフタイム以降の選手交代とシステム変更で流れを引き寄せ、後半の2分間に逆転。これで、ひとつの引き分けを挟んで全公式戦11連勝としている。シャビ・アロンソ監督が、「リバプールは現在の欧州でベストチームのひとつ」と讃える所以だ。
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著者プロフィール
井川洋一 (いがわ・よういち)
スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。