怪物・福田師王はなぜ高校卒業後すぐ渡独したのか? 1年でボルシアMGのトップに昇格
ボルシアMG・U-23日本代表FW
福田師王インタビュー前編
2024年1月15日、福田師王(当時19歳。4月8日で20歳)はボルシアMGのトップチームの一員となった。デビューはその約2週間後、アウェーでのレバークーゼン戦だった。79分からの途中出場だったが、今季無敗で首位をひた走る難敵から勝ち点1を奪取し、早くもチームに貢献した。
2月に入り、バイエルン戦、ライプツィヒ戦と、短い時間ながらも強豪との試合で出場を果たす。だが、ブンデスリーガでの出場はここで止まっている。そんな状況を、本人は冷静にとらえている。
「ここ半年はきついってわかっていたので、気持ちも落ちることなく、です。またがんばっていけばいいし、チャンスはあると思っています」
3月16日のツヴァイテ(セカンド)チームの一員として4部リーグのヴィーデンブリュック戦にフル出場した直後、福田はそう話した。
福田師王がトップチームに昇格するまでの心境を語った photo by Iwamoto Taiseiこの記事に関連する写真を見る「ここ半年」とは、2023-24シーズンの後半のことを指す。すでにシーズンなかば、チームは"新加入選手ありき"で編成されるわけではなく、福田にとって出場機会の獲得が難しいのは当然のことだ。
「トップチームに昇格したものの、ツヴァイテの一員として4部リーグで戦っている」という福田の現状は、あたかも苦労を強いられているように受け取れるが、決してそんなことはない。福田はボルシアMG加入からの約1年間、間違いなく順調にステップアップしてきている。
2023年1月26日、福田は日本を発ち、翌27日にドイツに到着した。高校選手権の決勝で岡山学芸館高校に敗れた、わずか20日後のことだった。
福田はまず、ボルシアMGのU-19チームに加入した。デビュー戦は2月6日、チームにとって2023年初の公式戦「U-19ニーダーラインカップ」のPSVノイス戦となった。この試合、22-0で勝利したが、そのうち8得点は福田が決めて、チーム内外に存在を強く知らしめたことにより、多くの現地メディアで福田の名が躍った。
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著者プロフィール
了戒美子 (りょうかい・よしこ)
1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。