スポーツ賭博は欧州でも蔓延 若手イタリア代表もギャンブル依存症を告白 (3ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko

【サッカー選手が賭博にのめり込む理由】

 また、ザニオーロは賭博にのめり込んでいった理由を、『ガゼッタ・デロ・スポルト』紙にこう述べている。

「僕たちの人生は "諸刃の刃 "だ。金があって、普通の人が買えないようなものも手に入れられる。だが同時にレストランやクラブに行けば、常にみなの視線にさらされる。もしかしたら、携帯で盗撮をされているかもしれない。少しでもバカなことをしたり、言ったら、数秒のうちに世界中に知れ渡ってしまう。そんなプレッシャーから外出がいやになり、家にいることが増える。そして暇つぶしにタブレットや携帯でゲームをする。あまりスマートではないかもしれないが、これが真実なんだ」

 実際、大きなプレッシャーがあるのと同時に大金もあるサッカー選手には、ギャンブル好きが多い。かつてズラタン・イブラヒモビッチは好きが高じてベッティング会社に出資までし、それがFIFAの規則に抵触するとして罰金を払ったことがある。

 また、元イングランド代表のウェイン・ルーニーはまだ選手になりたての頃、ギャンブルにはまり、負けを取り返そうとしてさらなる泥沼にはまっていった。2008年にはポーカーで、2時間のうち6万5000ポンド(当時のレートで約1300万円)を失ったという。

 現役選手では、ネイマールもカジノが大好きだ。2023年3月にはオンラインカジノで、わずか2時間で100万ユーロ(約1億5000万円)を失ったと公表している。

 イタリアを代表する元GKで、現在はイタリア代表のチーム・コーディネータを務めるジャンルイジ・ブッフォンもまた大のギャンブル好きで知られている。現役時代には賭博スキャンダルに巻き込まれ、危うくW杯出場を逃すところだったこともある。そんな彼は、トナーリらの事件を受けて、こうコメントした。

「賭博自体は犯罪じゃない。スタジアムやスポーツ中継はこの種の広告で溢れているし、国だってギャンブルを奨励している」

「アプリの前で1ユーロの賭けを続けているのはOKで、1回で100万ユーロを使えばギャンブラーだというわけではないだろう。問題なのは中毒性、そしてその行為に費やされる膨大な時間だ」

 自身の過去も振り返りながら、ギャンブルにはまる若者たちにこう警鐘を鳴らしている。

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