久保建英のレアル・ソシエダがエムバペを抑える心強いデータありとスペイン人記者 CLの大一番はどうなるか? (3ページ目)

  • ウナイ・バルベルデ・リコン●取材・文 text by Unai Valverde Ricón

【トラオレはエムバペキラー】

 この大一番に久保とトラオレが間に合ったのは朗報だ。

 この試合で最も注目を浴びるのはキリアン・エムバペだろう。彼を抑える役割を担うのは、今季ここまでのラ・リーガで最高のセンターバック(CB)との呼び声が高いスベルディア、昨季のラ・リーガでナンバーワンのCBだったロビン・ル・ノルマンのコンビとなる。さらにルイス・エンリケ監督がエムバペを左ウイングに起用する場合に備えて、すばらしいシーズンを送っている経験豊富なトラオレもいる。

 トラオレはラウンド16を戦うのは初めてだが、すでにレンヌ時代CLには参加している。彼は何よりもエムバペを抑えるエキスパートであり、強靭なフィジカルを武器に当時パリ・サンジェルマン相手に好成績を残した実績を持っている。

 信じられないことのように思えるが、その対戦成績は6勝2分6敗と互角だった。これは驚くべきデータだ。昨シーズンはリーグ戦で2回パリ・サンジェルマンを破り、さらに1ゴールを挙げていた。

 中盤に控える"3大テノール"もまた重要な存在となるだろう。マルティン・スビメンディがピッチを広くカバーして相手のカウンターを遮断し、エムバペやウスマン・デンベレ、ブラッドリー・バルコラのスピードを抑える役割を果たす。そしてブライス・メンデスとミケル・メリーノは前線でハイプレスをかけてデュエルを制し、決定機を生み出さなければならない。

 もちろん勝利を収めるためには、ジャンルイジ・ドンナルンマの守るゴール付近での、攻撃陣のすばらしい活躍が必要不可欠だ。サディクとアンドレ・シウバのストライカー、そして久保などのウインガーに大きな期待が寄せられている。

 久保はおそらくリュカ・エルナンデスなどの屈強なDFと対峙することになるが、相手は久保の技術力の高さを熟知しているため、徹底的にマークされることが予想される。一方、ダニーロ・ペレイラが左のCBでプレーすると思われるが、ラ・レアルと久保はそこから勝利への道を切り開けるかもしれない。

 ダニーロ・ペレイラはボランチからCBにコンバートされた選手であり、そのレベルはパリ・サンジェルマンの他の選手よりも低い。そのため久保がカットインして強烈なシュートを狙い、トラオレが積極的にオーバーラップを仕掛け、逆サイドから中に入ってくるアンデル・バレネチェアにパスを送ることで、大きなダメージを与えられるはずだ。

 また、久保が守備でエムバペとマッチアップするトラオレをサポートすることもカギとなるし、ボールをほとんどロストしない能力も、敵地で重要な勝利を成し遂げる上で重要となるだろう。

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