橋岡大樹は日本代表で「満足しているつもりはない」 ドイツ戦勝利で祝福されるも「悔しい気持ちがあった」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 2021年にシント・トロイデンへ移籍して以来、ようやく生まれた待望の初ゴールである。橋岡がうれしそうに口を開く。

「いや~、やっとかって感じですね(笑)。もう2年半(シント・トロイデンで)プレーしていて、ゴールを決めていなかったので」

 喜んだのは、チームメイトも同じだ。浦和レッズ時代の橋岡の後輩であり、今夏シント・トロイデンに移籍してきた鈴木彩艶も、「ここに来てゴールを決めていないって言っていたし、この前の試合でもチャンスがあったなかで決められなくて、本当に悔しがっていた。決めてくれてうれしい」と、自分のことのように声を弾ませた。

 橋岡が公式戦でゴールするのは、2020年8月のJ1第13節大分トリニータ戦(2-1)以来、およそ3年ぶり。その時のゴールもまた、前半33分というのも因縁めいていて面白い。

 当時の試合をベンチから見ていた鈴木は、橋岡の"Jラストゴール"もしっかりと記憶している。

「埼スタで、(試合の)前半でしたね。(右)斜めからの(山中)亮輔さんの強烈なFKを(橋岡が)頭でちょっと触って入ったのは覚えています」

 ゴール後、山中のFKが直接ゴールインしたと勘違いした周囲に向かって、「オレ、オレ!」と必死のアピールを繰り返していた橋岡の姿が微笑ましく、印象的なシーンとして記憶しているファンも多いかもしれない。

 橋岡自身、「3年ぶりくらいですか? 長いですね」と苦笑する、久々のゴールである。

「(3年前のゴールは)ヘディングですよね、たぶんFKからの。だいぶ経っていますね。シントに来て初めてのゴールなんで、ゴールする気持ち、感覚をちょっと忘れていました。(ゴールを決めたあとも)どう喜んでいいのかわからなかったんで。これから、ゴールを決めたあとは、もっとスマートにできればいいかなと思います(笑)」

 だが、記念すべきベルギー初ゴールも、現在のシント・トロイデンでの橋岡の役割を考えれば、生まれるのは時間の問題だったのかもしれない。

 右ウイングバックがスタートポジションの橋岡も、試合のなかでは前線の選手とポジションチェンジする機会が多く、高い位置にとどまる時間が少なくない。つまり、ゴールに直結するポジションにいることが多いからだ。

「(チームとして)ボールを保持できていて、時間があるので、どんどん前に出ていく数も多くなってきている。僕にもチャンスが結構回ってきていると思うので、ゴールできるチャンスも多くなっているのかなと思います。アシストの数は増えていたんですけど、ゴールがなくて、これを機会にまたゴールもアシストも増やしていければいいかなと思います」

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