メッシの目の前にある移籍の選択肢は4つか。そのなかでバルサ復帰が有力視される理由 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【大金を用意しているサウジアラビア】

 まずは彼が観光大使を務めるサウジアラビア。現在世界で唯一メッシに正式なオファーをしているのはアル・ヒラルで、年間4億ユーロ(約600億円)というとてつもない報酬を提示している。今回のメッシのサウジ行きはそれも関係したのではないかと言われている。また同じサウジのアル・ナスルが、水面下でメッシに6億ユーロ(約900億円)のオファーをしているという噂もある。もしそれが実現すればメッシとクリスティアーノ・ロナウドが同じチームでプレーすることになる。サウジアラビアは「Vision2030」と銘打って、2030年までにサウジアラビアのイメージを変えていくプロジェクトを進めている。メッシはそのプロジェクトの重要な駒であると考えられている。

 しかし、メッシがサウジアラビアに行くことには多くの人が批判的だ。そもそも彼が観光大使になったこと自体「人権のない国の片棒を担ぐのか」「キャリアの汚点となった」と非難されている。例えば元オランダ代表のマルコ・ファン・バステンはブラジルのテレビ番組のインタビューで、強い言葉でこう語った。

「もしメッシがサウジに移籍したら、それは何とも貧しい決断だ。これまで多くの金を儲けてきたというのに、まだ自分の情熱ではなく、金で動くのか」

 次に可能性があるのはアメリカのユナイテッド・マイアミ。共同オーナーであるデイビッド・ベッカムはもう何年も前からメッシにラブコールを送り続けている。またチーム名は判明していないが、マイアミの他に複数のMLSのチームがメッシに興味を示しているという。もしアメリカに行ったなら、パリでのようにサポーターにブーイングされることもなく、心穏やかにプレーできるだろう。報酬も悪くないはずだ。ただ彼がまだ代表でプレーを続けたいと思うなら、アメリカ行きは名案ではない。

 最近になって浮上してきているのがプレミアのニューカッスル。今、世界で一番金持ちと言われるチームだ。バックにはメッシと関係の深いサウジアラビアがついている。巷ではネイマールがニューカッスルに移籍するのではとも噂になっているが、ネイマールの友人によると、実はニューカッスルはネイマールとメッシのふたりをそろってほしがっているという。彼らを同時に奪えれば、サウジアラビアにとっては快挙だろう。

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