冨安健洋対久保建英などELの注目はイングランドとスペインの対決。POで「欧州クラシックマッチ」も (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【復活傾向にあるバルサ、マンU】

 なかでも一番の好カードはバルサ対マンチェスター・ユナイテッドだ。英国ブックメーカー各社はELの優勝候補をアーセナル、バルサ、マンチェスター・ユナイテッド、ユベントス、アヤックス、ベティス、レアル・ソシエダ......の順で挙げている。

 バルサ対マンチェスター・ユナイテッドは、2番人気対3番人気の対戦というわけだ。プレーオフの段階で戦わせたくない一戦である。想起するのは2008-09、2010-11シーズンのCL決勝だ。両チームはこの時、紛れもなく欧州ナンバーワンの座を争う関係にあった。栄華をほしいままにしていた欧州の2大チームだった。それから10余年後、ELのプレーオフで顔を合わせるとは当時、想像だにしなかった。バルサは2014-15シーズンにもCL優勝に輝いているが、それ以降、急落。欧州では無残な姿をさらけ出している。この一戦は衰退感が否めない両チーム同士の対戦でもあるのだ。

 しかし現在、国内リーグにおいては、両軍ともに復活傾向にある。バルサがレアル・マドリードをかわして首位に立てば、マンチェスター・ユナイテッドも3位をキープ。アーセナル、マンチェスター・シティと差のない戦いを演じている。

国王杯で久保建英とマッチアップするフレンキー・デ・ヨング。バルサ復活のカギを握る国王杯で久保建英とマッチアップするフレンキー・デ・ヨング。バルサ復活のカギを握るこの記事に関連する写真を見る 復活の立役者をひとり挙げるならば、バルサではフレンキー・デ・ヨング、マンチェスター・ユナイテッドではブルーノ・フェルナンデスとなる。

 これはもちろん筆者の感想になるが、バルサでは、カタルーニャのナショナリズムが濃い土地柄の影響もあり、地元メディアはMFといえばペドリ、ガビに注目する。彼らの技巧を何より称えようとするが、最も欠かせないチームの柱はフレンキー・デ・ヨングだろう。MFとしての総合力の高さに目を奪われる。

 マンチェスター・ユナイテッドのエリク・テン・ハグ監督は、デ・ヨングが4シーズン前まで在籍したアヤックス時代の監督だ。2018-19シーズンのCL準決勝に進出し、トッテナム・ホットスパーに番狂わせ寸前の惜しい戦いを挑んだことは記憶に新しい。今回の一戦は、俗な言い方をすれば師弟対決になる。

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