メッシとエムバペの「怪物ぶり」がわかる2022年データ。W杯決勝を戦った新旧スターが共演すれば、ピッチで必ず何かが起こる (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

【MNMトリオが目指すもの】

 連覇を逃した悔しさからリカバリーするには、休むよりもプレーに戻ったほうが早い。あれだけの死闘を繰り広げたあとでもまったく疲労を感じることなく、よりプレーするモチベーションを高めていたのだから、もはや異次元すぎる。

 しかも、リーグ再開後の初戦となったストラスブール戦(第16節)では、1−1に追いつかれたあとにネイマールが退場。メッシ不在のPSGは10人で戦うことを強いられたが、エムバペはその苦しい時間帯でチームを牽引したうえ、後半アディショナルタイムに自ら獲得したPKをきっちり決めて、土壇場でチームを勝利に導いたのである。

 さすがに元日に行なわれたRCランス戦(第17節)のあとは、シーズン後半戦のことを考慮されて親友アクラフ・ハキミとともに約1週間のオフをとることになった。しかし、エムバペの勝利への意欲と向上心は、あいかわらず衰え知らずだ。

 35歳のメッシも、しっかりとオフを満喫してから年明け1月3日に合流し、エムバペ不在のアンジェ戦(第18節)からピッチに戻り、上々のパフォーマンスを披露している。

 開始5分のウーゴ・エキティケの先制ゴールの起点となると、後半72分にはノルディ・ムキエレのクロスを絶妙なコントロールからの素早いシュートで決めて2−0の勝利に貢献。W杯の疲れを見せることもなく、至って普通に決定的な仕事をやってのけている。

 この異次元のふたりにブラジルの10番ネイマールを加えたMNMトリオが次に目指すのは、リーグ連覇と悲願のCL初優勝だ。

 リーグ・アンでは、レンヌに敗れたことで2位RCランス戦との勝ち点差は3ポイント、好調の3位マルセイユとも5ポイント差に迫られているため、油断できない状況が続く。そして、強豪バイエルン・ミュンヘンと対戦する2月14日のCLラウンド16第1戦が、シーズン後半戦の最初の大一番となる。

 果たして"新銀河系軍団"PSGは、ノルマとされるリーグ優勝と、悲願のCL制覇を達成できるのか──。カタールW杯後も、PSGから目が離せない。

【筆者プロフィール】中山淳(なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。

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