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リバプールのストーミングとレアル・マドリードのマドリディスモ。激闘の準決勝を制したCLファイナリストの戦術

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

決勝までは対照的な道のり

 チャンピオンズリーグ(CL)準決勝を勝ち上がったのは、リバプール(イングランド)とレアル・マドリード(スペイン)。両者のファイナルまでの道のりは対照的だ。

CLファイナリストのキーマン。リバプールのチアゴ(左)とレアル・マドリードのベンゼマCLファイナリストのキーマン。リバプールのチアゴ(左)とレアル・マドリードのベンゼマこの記事に関連する写真を見る グループステージ全勝のリバプールは、ノックアウトステージも危なげない。インテル(イタリア)、ベンフィカ(ポルトガル)、ビジャレアル(スペイン)との第1レグに勝利。第2レグはインテルに負け、ベンフィカに引き分け、ビジャレアルに勝利だが、いずれも第1レグのリードを守って決勝へ上り詰めた。

 レアル・マドリードは逆転の連続だ。ラウンド16のパリ・サンジェルマン(フランス)との第1レグは0-1、第2レグもキリアン・エムバペに先制され2試合合計0-2の窮地からカリム・ベンゼマのハットトリックで逆転に成功した。

 準々決勝チェルシー戦は第1レグを3-1で先勝したが、第2レグでは3点を奪われて逆転される。しかしロドリゴのゴールで延長へ持ち込み、ベンゼマの得点で決着。準決勝のマンチェスター・シティ戦は第1レグが3-4、第2レグは先制を許した。ところが終了間際にロドリゴの連続ゴールでまたも延長へ。そしてまたまたベンゼマのPKで勝ち越している。

ストーミング+チアゴのリバプール

 ユルゲン・クロップ監督の戦法は「ストーミング」と呼ばれ、攻守に息もつかせぬハイテンポと激しさで知られている。今季はチアゴ・アルカンタラを加えたことでのプラスアルファも表れてきた。

 基本フォーメーションは4-3-3。フィルジル・ファン・ダイク、トレント・アレクサンダー=アーノルドからのロングパスで一気に敵陣へ攻め込む、いわゆる「縦に速い攻撃」が特徴だが、攻め込みのタイミングの早さは陣形の間延びという弱点を抱えやすい。

 しかし、リバプールはロングフィードの精度が抜群なのと、受け側のモハメド・サラー、サディオ・マネのスピードとコントロール能力がずば抜けているので成立している。アメリカン・フットボールのタッチダウンパスのようだ。

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◆【図】リバプール、レアル・マドリードのフォーメーション

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