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日本代表に示したお手本。鎌田大地&フランクフルトはこうしてバルサを攻略した (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

まずはブスケッツを不自由に

 先制後、フランクフルトは受け身に回らざるを得なかった。フランス代表ウスマン・デンベレの攻撃力はすさまじく、序盤は手を焼いた。しかしラインをコントロールし、下げすぎてはいない。3-4-2-1というよりも5-4-1のような布陣で、各自の持ち場を点として線で結び、防御線を作っていた。破られそうになると、カバーに入る形で、デンベレにはセルビア代表フィリップ・コスティッチがしつこくつき、被害を最小限にとどめた。

 鎌田は第1戦でのシャドーよりも、いくらか守備的な立ち位置になった。周りの選手と辛抱強く防御線を作って、名手ペドリにボールを入れさせていない。ファウルになることも多かったが、高いプレー強度でチャレンジしているのが伝わった。

「いい守りがいい攻撃を作る」

 その模範だった。

 フランクフルトは選手の距離感が良好だった。たとえば、敵の司令塔でスペイン代表でも中核を担うセルヒオ・ブスケッツを、1トップとボランチで三角形の波間に沈め、容易にボールを入れさせていない。相手の攻撃にストレスを与える一方、ポジションのよさから随所でカウンターを発動。前半36分のコロンビア代表FWサントス・ボレの2点目は、その産物だ。

「バルサが我々のスピード、パワーに苦しむことは分かっていた。チャンスを作らせないようにゾーンで守った。まずはブスケッツを不自由にすることが目的で、その点、プランどおりに戦えた」

 フランクフルトを率いるオーストリア人、オリバー・グラスナー監督の言葉だ。

 日本代表の機動力も、十分に武器になるだろう。たとえば、この日、スピードで押し込まれていたスペイン代表ジョルディ・アルバを、伊東純也(ゲンク)は叩きのめせる単純な速さがある。また、パワーの面でも日本は怯むことはない。バックラインの吉田麻也(サンプドリア)、冨安健洋(アーセナル)、酒井宏樹(浦和レッズ)の3人は、攻撃を跳ね返すだけの膂力の持ち主だ。

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