パリ・サンジェルマンはメッシ、エムバペ、ネイマールのMMNでCLを獲れるのか。システムの最適解はいまだ見つからず

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

【キーマンはネイマール?】

 MMNの戦術上のキーマンはネイマールだ。これはバルセロナのMSNと同じである。

 バルサの第一ヴァイオリンはメッシだった。最後に守備をする選手だ。右ウイングのメッシが守らないのでMFは右側へスウェーしていく。その時に大きく空く左のスペースへ下がるのがネイマールの役割だった。

 前線にメッシとスアレスを残した4-4-2の守備セットが基本で、もう1人引く必要がある時は、スアレスが引く。メッシに、攻撃時にパワーを使わせるという優先順位ははっきりしていた。

 MNSが最初からそうだったのではなく、当初はメッシ、スアレス、ネイマールはそれぞれのエリアでの守備をしていたのだが、時間の経過とともにメッシに守備をさせない方式が固まっている。パリ・サンジェルマンは今のところMNSの初期に似ているが、時間の経過とともにバルサと同じになるとすれば、ネイマールが同じ役割をこなすことになるのだろう。

 ネイマールをセンターフォワードとして残し、エムバペに左サイドを担当させるのは可能だが、最もスピードのあるエムバペを引かせるのは得策ではない。メッシが中央、ネイマール左、右もできるエムバペが右サイドという配置は無難だが、左のほうが得意なエムバペを右に回すのがよいかどうかはよくわからない。

 プレースタイルはメッシとネイマールがライン間に下りる動きが多いのに対して、エムバペはサイドに開く。3人の初期配置がどうであれ、ネイマールとメッシがライン間で受けてエムバペが裏という攻め込みルートは変わらず、相手にとっては前に出られるのも引かれるのも問題を抱えるので脅威になる。

 4-3-3の場合の守備は、リバプール方式に近い。MMNは中央3レーンの守備を行ない、大外レーンへの配球に対しては3人のMFがスライドする。リバプールほど前線の外切り守備が定着していない完成度の低さはあるものの、MMNを前線近くに残しやすいのはメリットだ。

 MFの3センターはマルコ・ベッラッティ、ジョルジニオ・ワイナルダム、アンデル・エレーラ、イドリッサ・ゲイエ、レアンドロ・パレデス、ダニーロ・ペレイラの6人が選択肢になる。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る