冨安健洋も躍動のアーセナルが好調。ファン待望の新エースの巧みな動きが攻撃をけん引 (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

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オーバメヤンを追い越すように左サイドのスペースにオーバーラップ

 ティアニーからオーバメヤンに縦パスが入った瞬間、スミス・ロウには選択肢が2つあった。ひとつはオーバメヤンからの落としを中央で受けて、逆サイドのブカヨ・サカへのスルーパスや、マルティン・ウーデゴールを絡めた数的優位での崩し。

スミス・ロウは左サイドのスペースにオーバーラップ。ボールを受けてアシストにつなげたスミス・ロウは左サイドのスペースにオーバーラップ。ボールを受けてアシストにつなげたこの記事に関連する写真を見る しかし、スミス・ロウが迷わず選んだのは、もうひとつの左サイドのスペースへのオーバーラップだった。

 トッテナムは前プレスを剥がされた段階で、右サイドバックのジャフェット・タンガンガがスミス・ロウに食いついてサイドにスペースを空けていた。加えてオーバメヤンにボールが入ることで、右センターバックのダビソン・サンチェスが食いつくのが見えていたのだろう。

 チームでの約束ごとがあるなかでも素早いオーバーラップの判断は、攻撃のスピードを落とさず、トッテナムの守備を崩す決定的な動きだった。足元でボールを受けるのではなく、こうした2列目からダイナミックなランニングによって相手の隙を突く巧みな抜け出しこそが、スミス・ロウが攻撃に推進力をもたらしている所以である。

 抜け出したスミス・ロウはペナルティーエリア内までボールを運び、サンチェスを引きつけたところでプルバックのパス。オーバメヤンのフィニッシュで鮮やかな2点目となった。

 アーセナルは次節、アウェーでリバプールとのビッグマッチを控える。南野拓実と冨安の日本人対決も期待され、日本の注目度も高まっている。好調のアーセナルが、リバプールにどんな戦いをするのか刮目したい。

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