ミランで初先発初得点のマルディーニ家三代目は、6歳でセードルフにタックルをかました (3ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by LaPresse/AFLO

「パオロがこんなに手ばなしで喜んでるのを見たことがない。自分がゴールした時だってこんなに嬉しそうではなかった。自分の息子のゴールは格別なんだろう。自分がマネージメントするチームに息子がいることは簡単なことではないし、ダニエルにとっても父親がいるチームにいるのはやりにくいだろう。だからこそこれほど嬉しかったのかもしれない」

 ミランのオフィシャルマガジンで長らく編集長を務めたステーファノ・メレガリ氏はマルディーニ家三代を見てきた。ダニエルは子供の頃から光るものがあったという。

「2007年にチャンピオンズリーグで優勝した後、サン・シーロでそれを祝うイベントがあったんだ、そこで(クラレンス・)セードルフがお遊びでミランの選手の子供たちと一緒にボールを蹴った。ドリブルするセードルフをみんなが楽しそうに追いかけている時、大人顔負けの本気のタックルをかけボールを奪う子供がいた。それがダニエルだった。まだ6歳ぐらいだったと思う」

 三世代に共通するものをメレガリ氏はこう説明する。

「ポジションが違うので、プレースタイルは比べることができないが、時々ハッとするほど似たような動きをするところがある。しかしなにより一番似ている点は仕事に対する哲学だ。祖父も父も息子も、練習に向かう態度は本当に真面目なんだ」

「ダニエルはドリブルが非常に巧みで、それは祖父や父よりも上かもしれない」と、メレガリ氏は言う。ミランのステファノ・ピオリ監督も「ダニエルは才能とテクニックがある。周囲のプレーをよく見ていて、そこにうまく入ることができる。スピードと激しさが必要だが、とにかくとても努力している」と、期待をかける。

 ダニエルの冒険はまだ始まったばかり。今後、彼がどう成長していくかはまったくの未知数だ。

 しかし、パオロは偉大と言われていたチェーザレを超えた。彼はチェーザレ・マルディーニの息子ではなくなり、チェーザレがパオロ・マルディーニの父と呼ばれるようになった。同じことがダニエルに起こらないとも限らない。ぜひ祖父や父を超える活躍を見せ、マルディーニ家は代を重ねるごとに強くなるのだと証明してほしい。

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