2021.03.16

「リーガ史上、最も善人」のファンタジスタが語る、ペップから学んだ指導とは?

  • 小宮良之●文 photo by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

ファンタジスタ×監督(5)
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現在はデポルティーボ・ラ・コルーニャのBチームを率いるフアン・カルロス・バレロン現在はデポルティーボ・ラ・コルーニャのBチームを率いるフアン・カルロス・バレロン 「スペインのジダン」

 フアン・カルロス・バレロン(45歳)は現役時代、栄えある称号を戴いた。名付けたのは、当時アトレティコ・マドリードを率いていた名将アリゴ・サッキだ。大きな体を持て余すことなく、リーチの長さを生かして優雅にボールを扱い、鮮やかに相手の逆を取るプレーの数々は、まさにジネディーヌ・ジダンに近かった。

 2000年から10年以上在籍したデポルティーボ・ラ・コルーニャでは、エースとしてスペイン国王杯で優勝、チャンピオンズリーグでベスト4という結果を叩き出した。デポルティーボ(現在は実質3部に在籍)というクラブの規模を考慮に入れた場合、それは快挙だった。2000年代前半には、スペイン代表としてもEURO2000、2004、そして2002年日韓ワールドカップで攻撃の中心を任された。

 ファンタジスタとして、一時代を築いたと言えるだろう。一方で、ジダンと比肩するような世界的活躍はできなかった。

「ティキタカ(細かいパスをつなげて攻めていく独特のプレースタイル)には混ざってみたかったね。シャビ(・エルナンデス)、(アンドレス・)イニエスタ、ダビド・シルバと一緒に、どんなプレーができたか。イメージがたくさん広がって、楽しそうだった」

 バレロンは笑顔で言う。スペイン代表が欧州、世界に君臨した時代、皮肉にもスペイン一のファンタジスタは代表から遠ざかっていた。果たされなかった欲求があるのだろう。
無念さも、指導者の基礎のひとつかもしれない。

 2016年に故郷のラス・パルマスを1部に引き上げた後、バレロンは現役引退を決め、指導者に転身した。ラス・パルマスのユース年代などを指導し、キケ・セティエンの相談役にもなって、現在バルサに所属するペドリ(ラス・パルマスに2019-20に所属)にも好影響を及ぼしている。そして自身の監督ライセンス取得の仕上げに選んだ実地研修先は、ジョゼップ・グアルディオラが率いるマンチェスター・シティだった。