久保建英と中井卓大。先にレアルのトップにたどり着くのはどっち? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/AFLO

 とりわけ、攻撃面の創造性は同年代では傑出している。今後はひとつ前のポジションで試される可能性もある。今年2月のアトレティコ・マドリードとのダービーマッチでは、3点目を右サイドからのピンポイントクロスでアシスト。カスティージャのラウル・ゴンサレス監督は、トップ下や左サイドのアタッカーなど攻撃的ポジションでの起用も考えているとも言われる。

 ジネディーヌ・ジダン監督もそのポテンシャルを高く評価しており、トップチームの練習に招集している。

 もっとも、現時点の中井の目標は、ユース年代で確実に結果を残し、カスティージャに昇格することだろう。才能は才能であって、いきなりレアル・マドリードのトップでプレーする状況ではない。

 レアル・ソシエダでエース級の奮闘を見せてレンタルから戻ってきたノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴールでさえ、出場機会を求めて再びアーセナルへの移籍を決断した。中井はチャンスを待ちながらも、力をつけることに専念すべきだ。

◆連載「レアル・マドリード王者の品格」>>

 一方、久保は「マドリードでプレーする」という"距離"では、当然ながら中井よりも近くにいる。昨シーズンは、1部マジョルカで主力としてプレー。今シーズンはビジャレアルを経て、ヘタフェに移籍し、レギュラーを張る。守備のハードワークなど適応力も見せ、実績も積み上げている。

 しかし久保にも、レアル・マドリードでの活躍には越えるべきハードルがある。

「レアル・マドリードは、各チームの"チャンピオン"を集めたチーム。(チャンピオンとは)勝負をつけられる選手のことだよ。さらに、その中で違いを示せるか。その重圧に耐えられる勝者の精神が必要なのさ」

 かつてレアル」・マドリードの背番号7をつけたアマンシオは、マドリディスモ(マドリード主義)の流儀をそう語っていた。所属先で主力としてプレーができたとしても、マドリードでは十分ではない。

 セルビア代表FWルカ・ヨビッチはヨーロッパリーグでゴールを量産してレアル・マドリードに入団するも、鳴かず飛ばず。ところがレンタルでフランクフルトに戻ると、交代出場でいきなり2得点している。

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