華やかなイタリアW杯決勝の舞台で実感。欧州に「同国人のよしみ」なし (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 このような場合、同国人のよしみが働かないのが欧州。CL観戦を通して学んだ、これが一番のカルチャーギャップになる。CLを通して、最も発信していかなければならないサッカー文化である。

 オリンピコは2008-09シーズンも、CL決勝の大舞台を任された。筆者がCLの歴史27シーズンの中で、最も注目した決勝戦になる。バルセロナ対マンチェスター・ユナイテッド。マンUにとっては2連覇を懸けた戦いだった。

 驚いたのはブックメーカー各社の予想だった。すべて同じ見解だったからだ。50対50。両者互角。これは前代未聞である。全くの互角という予想を見るのは、後にも先にもこれが初。言ってみれば、ブックメーカー各社は予想を放棄したも同然だった。

 オリンピコのスタンドも両軍、きれいに半々に分かれた。地元ローマ人の反応もブックメーカーに倣っていた。

 ローマ市内の治安は、90年代前半に比べると、ずいぶん改善されていた。アクティブだったのはバルサのサポーターで、トレビの泉やスペイン広場など、市内の観光名所に集まり、我が世の春を謳歌していた。

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