ポグバの圧倒的スケール感。常識外れのプレーが生む強さの正体 (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 そもそもフランスは、プレースタイルが明確でないので気づきにくいのだが、優勝したチームのスタイルはかなりアフリカ的だった。

 この大会のフランスの特徴は「負けにくさ」だ。相手を圧倒するまではいかないが、どんな相手にも負ける気がしない。個々の身体能力の高さで、ぎりぎりでも相手の攻撃を防いでしまう。4-4-2で守る時の中盤のラインは全員黒人選手で、ここの強度が出色だった。

 さらにセンターバックのウムティティ、ヴァランは、高さ、強さ、スピードがあるので、最後の一線も死守できていた。とくに守備的というわけではないが守備が強力で、どんな相手にも簡単にはやられない。試合を膠着させ、エムバペの驚異的なスピードを前面に出した速攻で得点を狙った。

 組織はフランス、と言うかヨーロッパのものだが、そこに特徴があったのではない。個々の身体能力による守備範囲の広さが、月並みなゾーンの守備ブロックを特別な域に引き上げていたのだ。つまり、普通のサッカーをやる並み外れたアスリートたちが、ロシア大会のフランスで、アフリカ人のサッカーのひとつの理想像を示していたと思う。

<フランスを象徴する選手>

 ポール・ポグバは、そんなフランスを象徴する選手である。

 長い手足、瞬発力、スタミナ、パワー、柔軟なテクニック......フランス的であり、アフリカ的な傑物だ。ロシアW杯ではエムバペを走らせるパスを再三供給していたが、そのパスレンジの長さが独特だった。

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