2020.04.12
中井卓大の将来性に現地紙も高評価。
レアルの「工場」は男を育てる

- 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
- photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA
レアル・マドリードの下部組織は、「ラ・ファブリカ」(工場)と呼ばれるが、その伝統は継承されるのか――。
そして、ラ・ファブリカにはひとりの日本人選手がいる。
中井卓大(16歳)は、9歳からラ・ファブリカで過ごす日本人MFである。現在はフベニルCに在籍。フベニル(ユース)を年代順に三つに分け、その一番下だ。
「レアル・マドリードの下部組織で最も将来性豊かな20人」
スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、その企画記事で、中井を20人のひとりに選んでいる。
「ロベルト・ロドリゲス監督が磨き上げる原石。中盤に君臨し、チームにプレークオリティとビジョンで貢献できる。今も成長を続けている」
『マルカ』の評価は高い。"ピピ"の愛称を持つ中井は、"中盤の将軍"のようなプレーを見せる。長短のパスを使い分け、ボールを落ち着かせ、動かし、プレーの渦を作る。かつてレアル・マドリードに在籍したシャビ・アロンソに近いMFだろうか。
まだ線は細く、ゲーム終盤にプレー精度が落ちるのは課題だろう。しかし、着実にカテゴリーを上がっているだけでもすばらしいことだ。ラ・ファブリカは各国の有望な若手を常にスカウティングし、選手をふるいにかけ、入れ替える。昇格するのも簡単ではない。