バルサの伝統の継承者はオランダ人。メトロノーム型プレーの真髄とは (2ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

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 デ・ヨングはメトロノームのようにプレーする。ボールを受け、捌き、また受ける。正確で洗練されていてミスが少ない。けっこう危ないこともやっているのだが、そう見えない安定感がある。

 偉大な先人と比べられるのは若い才能にはよくあることだが、ベッケンバウアーとの比較はうなずける。背筋が伸びた姿勢の美しさと冷静沈着なプレーぶりは「皇帝」と呼ばれたドイツ人を彷彿させるものがある。

<メトロノーム型の選手>

 メトロノーム型の選手は正確無比なプレーぶりとともに、どこか力をセーブしているように見えてしまうところがある。周囲から「あれほどうまいのだから、もっとやれるだろう」というふうに見られがちだ。

 ベッケンバウアーはその典型だったが、現在ならトニ・クロース(レアル・マドリード)がそうだ。デ・ヨングもこのタイプである。

 たしかに彼らは「楽に」プレーしている。ただ、だからといって「手を抜いている」わけではない。むしろ逆で、楽にプレーするためにさまざまなことに気を遣っている。

 まず、正しいポジションをとること。相手からプレッシャーを受けにくい場所に、正しいタイミングでいなければならない。そして、完璧にボールをコントロールする。最後に的確な判断とタイミングでボールを離す。このどれもがパーフェクトにできていれば、流れるように無理なく効果的なプレーになるわけだ。

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