フランクフルトがバイエルンに
歴史的大勝。長谷部誠は刺激を受けた

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Reuters/AFLO

 ブンデスリーガ第10節、フランクフルトがバイエルンに5-1と大勝した。国内チーム相手の敗戦は、1年で数えるほどしかない絶対王者バイエルンを相手に5得点だ。満員の観衆は熱狂に包まれた。試合終了から時間がたちスタジアムを離れても、トラムで、鉄道の駅で、酔っ払って歌い続ける人たちの姿が見られた。

バイエルンに大勝し、喜びを爆発させるフランクフルトの選手たちバイエルンに大勝し、喜びを爆発させるフランクフルトの選手たち このカードの対戦成績を見ると、フランクフルトは2017-18シーズンのドイツ杯決勝でバイエルンに勝ったものの、リーグ戦では5連敗。2016年10月にホームで0-0だったのが最後の勝ち点である。大喜びするのも無理はない。

 今季のバイエルンは、こと国内リーグ戦では強さを発揮できていない。開幕戦でヘルタ・ベルリン相手に2-2とつまずき、第4節はライプツィヒと1-1、第7節にはホッフェンハイムにホームで敗れ、第8節ではアウクスブルクと引き分けたうえ、主力DFのニクラス・ジューレが前十字靭帯断裂の大ケガを負った。フランクフルト戦終了時点で4位。バイエルンにとっては事件と言えるほどの不振だ。

 だからこそ、試合前に「バイエルンがあまりよくない。ホームだし、チャンスはあるんじゃないかという話をしていた」と、鎌田大地は明かす。決して勝てない相手ではない、勝つなら今だという意気込みで試合に臨み、満員の大観衆がそれを後押しした。

 試合は序盤の8分、バイエルンにとっては痛恨のファウルがあった。抜け出したゴンサロ・パシエンシアを止めようと、ジェローム・ボアテングが足を出した。審判はいったんPKとイエローカードの判定を下そうとしたが、VARでの確認を選択。すると、ファウル地点はペナルティエリア外と変更され PKはフリーキックに変わったが、ボアテングのプレーは決定機阻止と判断され、退場となった。全体的のこの日のバイエルンは低調だったが、早い時間帯でのこの退場が、勝敗を分ける決め手のひとつとなったことは間違いない。

 フランクフルトの先制点は25分。ダニー・ダ・コスタが右からグラウンダーのボールを入れるとジブリル・ソウがシュート。ボールがダビド・アラバに当たって左に流れたところを、フィリップ・コスティッチが左足で合わせた。

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