肉体改造に成功の武藤嘉紀が、
プレミア2年目に自信。「点が獲れる」

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 開幕前のニューカッスル・ユナイテッドは混乱を極めた。

 武藤嘉紀の獲得を決めたラファエル・ベニテス監督が、契約満了にともない昨シーズン限りで退団。選手補強をめぐってベニテス前監督と意見の対立があったとされるオーナーのマイク・アシュリーに対し、サポーターのフラストレーションと怒りは爆発寸前になりつつある。

試合前のアップで笑顔を見せる武藤嘉紀試合前のアップで笑顔を見せる武藤嘉紀 実際、アーセナルとの開幕戦前にも、アシュリーが経営するスポーツ用品店『スポーツ・ダイレクト』の前でサポーターが抗議集会を実施。激しい雨が降る悪天候にもかかわらず、市内をデモ行進してスタジアム前まで移動し、試合開始の直前まで抗議活動を続けた。

 そんな迷走を続けるクラブの新監督に、英国人のスティーブ・ブルースが就任した。現役時代はアレックス・ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドの黄金期を築いた名CBだったが、監督としての近年の実績は「英2部クラブを渡り歩いた」という寂しいものしかない。しかも、8年前には地元ライバルのサンダーランドを率いた悪しき経歴もある。

 はたして、ブルースはこの難局を乗り越えることできるのか――。58歳の指揮官には、早くもメディアやサポーターから懐疑的な眼差しが向けられている。

 そのブルース監督が開幕戦で採用したのは3-5-2。ベニテス監督が残した3バックシステム(3-4-2-1)を踏襲しつつ、前線を2トップに変えた。

 だが、2トップの一角に武藤の名前はなかった。前線は新戦力で186cmのブラジル人FWジョエリントンと、パラグアイ代表の技巧派MFミゲル・アルミロンで編成し、武藤はベンチスタートとなった。

 試合は、後半14分にアーセナルが先制する。ニューカッスルは1点を追いかける展開になったが、それでも武藤に出番の声はかからず、0-1で敗れた。しかも、ブルース監督は3人目の交代枠を最後まで使わず、武藤はベンチで終了のホイッスルを聞いた。

 試合後、FWの武藤を投入しなかった理由について、ブルース監督は「すでにピッチ上に3人のFWがいたので、(攻守の)バランスを取ることが大事だった。私がこのクラブにやってきてから、武藤は非常によくやっている。今日は起用しなかったが、構想にはしっかりと入っている」と説明した。

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