悔しさの後に見せた充実感。長谷部誠はチェルシー戦を特別と感じた (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 最終ラインにスペースが空けば、長谷部がすばやく降りてカバー。相手の縦パスをインターセプトできそうなら、思い切って前方に飛び出してパスをカットした。チェルシーの攻撃の芽を摘み取ることで、ピンチを未然に防いでいた。

 そして、中盤の底でボールを受けると、左右に散らしたり、縦パスを入れたりして攻撃の起点となった。実際、フランクフルトの同点弾は、長谷部の縦パスが起点だった。長谷部は言う。

「試合を通して、自分のところがけっこう空いていた。そこでボールをもらって展開したり、前につけたりというのは意識してやっていた。そのなかでミスもあったんですけど、そういうふうに点に(つながったのはよかった)。

 もちろん、点を獲った選手、アシストした選手がいいプレーをしましたけど、あそこで自分がいかにボールに触れるかというところで、今日、自分があのポジションで出たという感じはあるので。その分だけでも『できたな』というところと、『まだまだだな』という感覚はやっぱりある。こういった試合をしたいなというのは正直ありますね」

「こういった試合をしたいな」と語ったとおり、世界最高峰と呼ばれるプレミアリーグで3位につけるチェルシーとの一戦で、長谷部は得られるものが大きかったという。

 チェルシーには前述のアザールやジルーのほか、イタリア代表MFジョルジーニョや、ブラジル代表MFウィリアンら世界有数のタレントが揃う。なかでも、イングランド代表でも将来が嘱望されている23歳のMFルベン・ロフタス=チークとのマッチアップは、ブンデスリーガではなかなか得難い経験だったようだ。

「フィジカル的なところは少し差を感じましたね。相手の12番(※先制点を決めたロフタス=チーク)は、190数センチあって、それでいて足もともうまいし、スピードもある。ああいう選手はブンデスではあまり見かけない。

 ああいう選手と競り合った時の感覚は、やっぱり分は悪いなと。そういう差は感じた。あとは、小さなプレーのなかでも、いろんな差を感じた。逆にやれたところもあった。もっともっとこういう経験をしたら、まだまだ成長できるんじゃないかなという感覚はあります。

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