バルサの独自戦略が進化。「カフェインでパスの正確性を上げる」
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】バルセロナと「未来のフットボール」(3)
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FCバルセロナの目標は、ただ勝つことだけではない。医学や栄養学、データ分析、バーチャルリアリティ(VR)など、さまざまな分野の研究を通じて、フットボールの進化をめざしている。シリーズ第3回は、バルサの移籍戦略の強みと意外な弱み、フットボール選手にはつきもののケガへの対策、そして栄養と睡眠というアスリートにとって基本中の基本ともいえる分野で進行中のイノベーションを探る。
ベンチでくつろいだ表情を見せるリオネル・メッシ(左)とジェラール・ピケ photo by AFP/AFLO【移籍】
バルセロナはどのように選手を獲得しているのか。監督のエルネスト・バルデルデは言う。
「選手のデータを細かく検討したうえで、ようやく獲得に乗り出すクラブがあることは知っているが、私はそれだけでいいのかと思っている。もちろん、関心のある選手のデータは見ている。例えばクレマン・ラングレ(昨年夏にセビージャから3500万ユーロ<約43億8000万円>で移籍したDF)を獲得しようと思ったら、彼のスピードやボール奪取の回数、防いだ攻撃などのデータを見る」
けれども──と、バルデルデは言う。バルサでは選手のメンタリティーについて周囲の人々に聞いて回るのだという。「いくらデータが優れていても、(精神的に)もろかったらどうしようもない」
バルサが選手を獲得するのは簡単だと思うかもしれない。有名クラブであり、地球上のどのスポーツクラブよりも高い給料を払うのだから。スポーツ・インテリジェンス社によれば、バルサのトップチーム選手の平均年俸は、昨年の数字で1220万ユーロ(約15億3000万円)。レアル・マドリードがかなり差のある2位で、3位はNBAのオクラホマシティ・サンダーだった。
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